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Long 『HUNTER×HUNTER』

なんだ、ここ。アジト?
隠れるでもない限りは、こんな廃屋なんて普通は入らないだろう。
じーっと見てたら、シャルは振り返って声を出す。
なんで、笑ってんの。

「どうしたの?」

「いや、俺をこんなトコ連れてきてどうすんのかなーって」

歩き出したシャルの背中じゃ、意図は読み取れなくて。
俺は小さくため息を吐いて後に続いた。

荒れた廊下を進んでいたら、どこかの部屋へと通される。
ろうそくが灯った部屋に、拷問でもされたらしい奴と、恐らくしただろう小さな人。

「誰ね、そいつ」

お前こそ誰だ、なんてのはおいといて。
そいつの鋭い眼光が俺に突き刺さる。

「いいでしょ。ユウキっていうんだ」

「俺はあんたの所持物かっての」

笑って返事をして俺の手を引っ張ったそいつに、俺は苦笑した。

なんだろう?
蜘蛛って予想よりもアットホーム?

「それより、ウボォー帰って来た?」

「いや、まだね。心配無用ね。あいつ、簡単に死ぬタマ違うよ」

俺への警戒は未だにやめる気がないのか、じっと俺を見てくるちみっこ。
うん。見方によっては可愛い。

なんか勝手に話してるけども。
俺は拷問をしてただろうちみっこを指差して聞いてみる。

「誰?」

「フェイタンだよ」

「よろしく、フェイタン」

笑って言ってみるけども、やっぱり返事はなし。
まあいいや。

覚えておこう。
たぶんだけど、拷問担当?ちみっこフェイタンね。

歩き出したシャルに、俺は慌ててついて行く。
ふと、思い立った質問を投げかけてみる。

「ねえ、いい加減教えてくれない?俺をなんでここに連れてきたのか」

くるっと振り返ったシャルは笑って首を傾げた。
いや、そんな答えに困る質問はしてないよ?

「なんでだろ?」

「いや、俺に聞くなよ」

なんでそんな爽やかに疑問。
あ、日本語おかしいな…

そのまま、アジト内のリビング(誤判?)まあ、一番広い所へと連れて行かれる。

中を見れば積まれたのか、崩れたのか解らないけど、沢山の瓦礫やらが山になっていた。
そこに旅団のメンバーだろう連中が数人居る。

全員の視線が俺に集まる訳で。
フェイタン同様、警戒を全面に押し出していた。

フェイタンよりは幾分友好的に感じたのは、名前を聞いたら自分から名乗ってくれたからだと思う。
・・・ていうか、そんな簡単に俺に情報を与えて良いのか?

あ。
まずかったら俺を殺すから良いのか。

ちらっと見たら、ヒソカは奥でトランプタワーを作っていて。
気付かないふりをしてるみたい。

「どうかした?」

「ん?眠いなぁと」

まあ、ウソではないよ。
外ももう暗いしね。

きょろきょろと室内を見回してみると、他に比べて少しだけ瓦礫が少ない場所を発見。
そこの壁に近寄ると、手で軽く地面を払う。

「ココで寝てもいい?」

「まあ、いいんじゃない?」

ふむ。じゃあ、遠慮無く。

俺はそこに腰を下ろすと、足を抱え込んで頭を膝に乗せてみる。
段々と眠気が増してくるのを感じながら、髪の隙間から見えたヒソカに口元が緩みそうになるのを感じた。

それを避ける為にすっと避けた視線の先には、マチ。
さっき名前を教えて貰った、以前にヒソカと接触してた人。
ああ…また、気分が落ちてきた。

っていうか、団長さん。
こっち見るな。

主「んーっ…」

眠さが増してきていた俺には、言葉よりも先にうなり声にも似た声が出る。
まあいいかなんて思いながら、俺はそのまま横に倒れた。

まあ、これで見えるのは足と瓦礫くらいなもんだ。
安心して寝られる。
薄れゆく意識の中で最後に思ったのは、ヒソカでもゴンでもなかった。

どうしよう?
俺、どっちの敵にも味方にもなれないかもしれない…

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あきゅろす。
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