Long 『HUNTER×HUNTER』
4
500人抜き。
20人以上腕を折られた。
ゴリラに育てられた猿人間。
そんな風に噂されたゴンの方にはもちろん、お客は行かない。
俺の方はと言うと、それ以上に来ようとしない。
ちなみに、俺の方の噂は・・・
笑顔で圧勝。
机を破壊する腕力。
可愛い顔して腕がいかれる。
とかとか…
失礼な。
それじゃ、俺が演技下手みたいじゃないか!?
たしかに…机壊しちゃったし、笑いながら勝ったりもしちゃったけどさー…ぶーぶー。
「どけ」
ふと、でっかいおっさんが人混みをかき分けて出てくる。
裏の人間、という雰囲気だ。
俺の机がなくなった所為で、今日はまたゴンだけで。
その前に座ったそいつはどう手を組もうか、と悩んでいた時。
ゴンを退かしてレオリオがそいつに勝負を仕掛ける。
ちらっとこっちを見たから、俺は頷いておいた。
悪いようにはならないだろ?
「1億、プラスダイヤ。俺に勝てばあんたのもんだ。これでどうだ?」
了承したあいつらをみながら、俺はレオリオが意外と考えていた事に感心していた。
俺だって、ゴンがすっごい勝つのは予想出来ていた。
だから、それでも客が離れないように、もっと高い宝石にした方がいいんじゃない?と言ったのだ。
なのに、これでいいんだと笑って、俺の分の金はまだとっといてくれって。
こういう大物を逃さない物の、上物のエサって事ね…
意外と頭良いな。
腕をやられちゃったおっさんの連れは、メモをレオリオに渡して去っていった。
渡されたメモの場所まで行ったら、天空闘技場を思い出させる殺気とむさ苦しさ。
まあ、あそこよりも断然、こっちの方が実力ありそうなのがいるけどね♪
そんな男共の真ん中にあるのは、どうみてもリングだ。
今すぐにでもプロレスとか、出来そうな程にリングだ。
・・・意味が分からない。
少し待ってたら、リングの中央にヒソカ以上かもしれないヘンタイさんがマイクを持って現れた。
そいつの話しを要約すると?
旅団(7人)を探してるの☆1人20億で買うから、どんな方法でも良いから捕まえて!でも参加費は500万ね?・・・って感じ?
そしてその中にはやっぱり、腕相撲でゴンを本気にさせた眼鏡っこも居た。
この子、改めてみると可愛いくね?
会場から出る人混みに紛れて、炎狼を忍ばせておいた。
まあ、まず無いとは思うけども、あの中に旅団の連中が居たら…ね。
炎狼は俺が知ってる匂いや見た目も覚えてるからね。
あの子か、あの子の匂いが付いてる人を探して貰おうかな。
って、思ってたんだけどね。
「さっき、条件競売って言いながら、まるっきし賞金首探しだろ?マフィアが自分の力で捕まえきれてないって認めてるようなもんだよ」
帰り道、前を歩くみんなの話しを聞きながら、さすがキルアだなーなんて思っていた。
そうしながらも、炎狼と話しをしながら後をついて行く。
さっきのの報告を受けないと、ね?
『俺には居ないように思えたけど、どう?』
『うん。たぶん、居なかったよ』
『やっぱりかぁ…ありがとね』
『うん!』
優しく背を撫でれば喜んで頷く炎狼が可愛くて、ついつい抱きついてしまう。
わしゃわしゃと撫で回していたら、前にいたみんなも止まっていた。
なんだろう?と、炎狼の首の辺りに手をまわしたままみんなに追いつく。
クラピカ、と聞こえたし、ゴンが携帯を耳にあててるし…
「クラピカに電話してんのか…」
「あ、お前なんで炎狼出してんの?」
「うお!?狼!?」
そう言えば、レオリオは知らなかったっけ?
ゴンとキルアはゴン家の近くの森とかでよく一緒に遊んだから解るだろうけども。
「えっとねー…こいつは炎狼って言って、俺の念。襲わないから、怖がらないであげてよ」
「ほ、ホントか…?」
恐る恐ると炎狼を覗き見るレオリオに苦笑しながらも、炎狼に同意を求めて背を撫でた。
おん!と元気よく返事をした炎狼にレオリオはびびったけど、電話を切ったゴンが炎狼に触れたのをじっと見ていた。
「出ないよ」
そのままクラピカの仕事の話しになったのを、俺はしゃがんで炎狼に抱きつきながら聞いていた。
暖かいなーなんて、思いながら聞いていたけども。
気になるのはゴンの手中にあるカブトムシとは言うまい。
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