Long 『HUNTER×HUNTER』
10
あれから2ヶ月。
ゴンの謹慎も解けて、やっとズシと一緒に修行を受けられる事になった。
凝の習得、か。
俺どうやって念を覚えたんだっけ?
なんで、凝もできるんだろう?
その後、説明を聞いて、修行をした。
3人が先に帰るのを見送って、俺はここに残った。
「ねえ?修行なしで念って覚えられないよね?」
「ええ。ですが、彼らのように裏技的に覚える、という事は可能です。…どうかしましたか?」
「俺、念を修行した覚えないんだけど」
驚愕の表情を浮かべるウイングさん。
記憶が全てなくなる前に、誰かの記憶に入れておかないと…俺が消えてしまいそうな気がしていた。
俺の始まりから、今までの記憶を一通り軽く話してみる。
「そんなことが…」
「俺も不思議。でも、最近段々俺の記憶が塗り替えられてる気がするんだよね」
俺は違う世界に居た。その記憶がある。
でも最近はその記憶が解らなくなってきて、こっちで暮らしていた俺の記憶になっていく。
「んー…やっぱ、いいや。俺にも解ってないから」
苦笑混じりにそう言えば、ウイングさんの呆けた顔が目に入る。
うーん…やっぱり、話さない方が良かったのかなぁ?
「いえ…すみません。そうですね…私にはどうする事も出来ませんが、また話しを聞く位なら出来ますよ」
優しく笑う大人の顔に、俺はどこか安心していた。
だって、こんなに優しい人なんて、そう居ない。
「ありがとうウイングさん!」
「あなたも、大事な私の教え子ですから」
その後も沢山話した。
たくさんたくさん、話しを聞いて貰った。
そして、念の種類を調べる事にまでに到る。
「これで、解るの?」
「ええ。これに向かって、念を使ってみて下さい」
言われた通りにコップに入った水に向かって念を注いでみる。
ちゃぽんと水は宙に浮いて、葉っぱが燃えたのを合図に、水が蒸発した。
「・・・何系?」
「特質系、ですね」
前にヒソカが何かを言っていたのを思い出す。
性格診断で、特質系は個人主義だっけ?
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