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Long 『HUNTER×HUNTER』

ヒソカの顔は、一瞬驚くけど、すぐに元に戻って、俺を押し倒す。

ふざけるな。

「何を、してるんだ」

目の前でニヤニヤとヒソカ笑い(普段の嫌な笑い方)を浮かべているそいつを、睨み付ける。

返事は、ない。

ゆっくり下がってくる口に、俺の手を宛がう。

そんなのをされたくもないし、そんなので誤魔化されたくもない。

「誤魔化すな!手を舐めるな!…帰る!!」

抑えていた手を舐められて、俺はヒソカの腹に蹴りを食らわせて立ち上がる。
なんで念でガードしてないんだ…!!

パシッと腕を掴まれて、俺は振り返る。

「…何?」

「ごめんね」

なんで、そんな優しい顔で謝るんだ。
なんで、急に…

強ばらせていた体の力を解いて、俺はため息を吐く。
俺はヒソカのその、顔と声が…苦手だ。











彼の手を掴んで、立ち止まらせる。

ただでさえ、最近彼に思考を占拠されすぎていたんだ。
だから、遠ざけようかと思っていたのに、自分から部屋に来るし…

心配をしてくれたのかな、とか、部屋に来てくれた、とか、ついつい嬉しくなってしまう。

それなのに、ユウキの態度はどこか冷たくて。
つい、自分も同じように対応してしまった。
その所為で去ろうとする背に、罪悪感を覚えて、手を掴む。

もう、諦めた。
自分らしく無くても言い。
彼を手放したくない。

「…なにが」

「さあ?」

何に大して謝ったのかなんて、答えられない。
さっきまでの態度、君へのこの思い、沢山の嘘…

ただ、謝る言葉が口から零れた。
ぐっと腕を引っ張って、彼を腕に抱く。

今は…それが、答え。










はぁ…

ヒソカに抱き締められるのは、嫌じゃないんだけど…
ヒソカの腕に、違和感。

体を回して、腕に触ってみる。布?
その感触を頼りに布をはぎ取れば、現れたのは縫合跡。

「ふぅん…」

ぴくっと反応するヒソカに、俺は振り返って、ニッコリと笑う。

「引っ張ったら痛いかなー?」

しないけど、さ。
こんな怪我、しなくたって勝てただろうに。
ゴンへの、サービスなのかな…

「はぁ…バカだよね」
誰が、とは付け足さない。

何故なら、こんな事をするヒソカが馬鹿だと思いながらも、それに癒しの炎を使おうとしている自分はもっと馬鹿だと思うから。

炎狼が居ないから、威力は半減だけども、少し位なら治りが早くなるはず…
優しく、優しく、傷口を撫でる。

もう片方の腕は、結構平気みたいだ。
俺の腰をがっしり掴んでるしなっ!

「…この腕は、何」

腹の前にある手を軽く叩いてみるが、頭の後ろで笑う声が聞こえるだけ。


なんなんだ…
ああ、疲れた。

慣れない焼き餅(もう自棄だ。認めてやる!)妬いてみたり、記憶の確認をしてみたり?

「こっちに来てから疲れてばかりだ…」

こっちって、どのこっちだよ?とか思いながら、後ろにあるヒソカの背に体重を預ける。
一言だけなら、素直になってやってもいい。

「心配、したから…もう、するな」

返事なんて聞こえないし、肩に顔が降ってくるし。
命大事にしないし、人殺し好きだし、変態だし、奇術師だし…

いいよ。認めよう。
ヒソカの事……好きだ。

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