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Long 『HUNTER×HUNTER』

「やばいぞ…すごい、ヤバイ」

でっかい窓から外を見おろしてみる。

今日、何かを思い出しかけた。
けど、違う記憶にすり替わった。

あれ?何で、そんな事思ってるんだ?

俺は、確かにここにいた。
けど、違う世界から来た?

じゃあ…なんなんだ、これは。
この世界に居た記憶が、ある。

あちらの世界で見ていた、この世界の記憶が消え始めている。

「俺は…どこで生きていた?」

俺の過去は、何処にある…?

思考を振り払うように点けたテレビ。
その中で腕が吹っ飛んだヒソカ…

その時にどうやったのかは解らないけど、一瞬右手が念で覆われていた(ように見えた)。

つまり…何?
両腕、パフォーマンスの為に、あげちゃったの…?
気が付いたら俺は部屋を飛び出していた。



女の人が、ヒソカの部屋から出てきた。
あの雰囲気からして、あの人も強いんだろうな…

あの人が出ていくのを見て、俺は壁に背をやりながら、煩い心臓を服ごと鷲づかみにするようにしていた。

なんだ、なんでだ?
ヒソカが怪我した位で、なんでこんなに…ざわつく。



「ヒソカ…?」

しばらくして、ヒソカの部屋に入る。

風呂上がりなのか、下着だけを纏って、髪を拭いているヒソカ。

「腕…」

なんで、元通り?
テレビでのはトリックだろうと思えたけど、なんで、今のは…

「おや、ユウキ…どうしたんだい?」

振り返ったヒソカに、俺は返答できなかった。

自分でもなんでか、なんて答えられない。
誤魔化すように、歩み寄って、意図を読み取らせないように笑顔を貼り付ける。

「別に?あんな試合をした後に、よく女を部屋に呼べるな」

馬鹿にしたように、鼻で笑ってベッドに腰を下ろす。

何をしてるんだ、俺は。
用が無くなったんだ。
もう、帰れば良いのに…

「見てたんだ…」

「さっき、部屋から出てくる所をね」

ヒソカが見れない俺は、ヒソカに背を向けてベッドに座ったまま話し続ける。
不意に、ベッドの反対側に体重が掛かったのを感じる。

「心配して、来てくれたのかい?」

「…さあ、ね」

今までとは変わったヒソカの声に、俺は盛大にため息を吐いて、仕方が無く振り返る。

「ヒソカは、死にたいの?」

純粋なる、疑問だ。
あんな戦い方は、自分の命を亡くしたいような馬鹿じゃなければ、普通はしないだろう?


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