Long 『HUNTER×HUNTER』 17 誰かに気付かれやすいように、わざとらしく音を立てながら歩く。 オドオドとしていながら、頑張って気を張っている、そんな演技。すっげぇ、めんどくさい。 「俺って役者ぁ〜」 小声でそう呟く。 何故なら、さっそく罠に掛かったのが居るみたいv 「痛っ」 さりげなさを装って、転んでみる。 隙をつけたと思ったのか、そいつは思いっ切り突っ込んでくる。 俺に馬乗りになって、後ろから羽交い締めにするそいつ。 「最初のプレートゲット♪」 「それは俺のセr…っぐあ」 俺の腕の前にあったそいつの足を鷲づかみにして、地面に叩きつけて、今度は俺が上に乗る。 「形勢逆転だねっ」 にこっと笑顔で言えば、さぁっと青ざめるそいつ。 念は使えなくても、殺気は感じるもんね? ポケットをさり気なく手で庇う様を見て、俺はニヤリと笑う。 「ふぅん…そこに隠してるんだ?」 ビクリと震えたそいつを見て、俺は再びニコリ。 「一度やってみたかったんだよねー」 言いながら、そいつの手足から手を離して、首に手を掛ける。 テレビで見た事がある程度のプロレス技。 ゴキィっと鈍い音をならして、そいつはエビ反りになった。 「あれ。違ったっけ?」 俺は曖昧な記憶に首を傾げた。まあ、いいや。 そいつのポケットに手を突っ込めば、362番。イラネ。 まあ、いっか。 俺はため息を吐いて、それを仕舞いながら歩き出した。 誰も居ない。本当に誰も見当たらない。近くには。 俺は探すのにも飽きて、炎狼を呼び出した。 「お昼寝、しよ?」 「わんっ」 俺は、ふかふかで温かい炎狼を抱いて眠る事にした。 「んぅー…!」 よく寝たーぁ。 俺はその気になったら一週間位なら、起きっぱなしでも平気だ。 でも、逆にその気になったら何十時間でも寝ていられるぜ☆ ・・・自慢できる事じゃないだろ。 炎狼は先に起きてたのか、近くの湖で水を飲んでいた。 「あ、おはよう。炎狼」 「おはよう、ユウキ」 「うん、おはよう」 ・・・? あれ?俺、まだ寝てる? 俺が不思議に思ってそっちを見ていたら、とととっと歩いてくる炎狼。 スリスリと俺にすり寄ってくる様もいつも通り。 俺は炎狼を撫でながら、聞いてみる事にした。 「ねえ、喋れるの?」 「今までと違う?」 「…俺には、今までお前の言葉は解らなかったんだよねー…」 炎狼が首を傾げているのを見ながら、考えたけど…すぐにやめた。 だって、どうだとしても変わらない。 「可愛いからなんでもいい!」 ぎゅっと炎狼を抱き締めて、俺は叫んだ。 ふと、思い出す。 俺、タワー内でも風呂入ってないじゃん。 「よし!水浴びだぁ♪」 「うん!」 言うが早いか、俺はばばっと服を脱いで、さっきまで炎狼が水を飲んでいた湖に飛び込んだ。 継いで飛び込む炎狼と遊びながら、しばらく水遊び(目的変わってるけど)をしていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |