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Long 『HUNTER×HUNTER』
12
いい、気持ちだ。
なんか、ほんわかする。

遠い記憶の、俺を抱き締めてくれたあの人を思い出させる・・・

微睡みながらもゆっくりと浮上した意識の中で、ぼんやりと見えた顔に一瞬飛び退きそうになるが、なんとか思い止まる。
端正に整った男の顔、だ。…じゃなくて!!

いつの間に抱かれていたのか、俺は向かい合わせでヒソカに抱き抱えられていた。

不覚にも、ヒソカの前で警戒もせずにぐっすりと寝てしまった訳だ。
まあ…2回目な訳だけども!!
小さく、ため息を吐く。

俺が人前でこんなに安心して寝るなんて、考えられなかったのに。

授業中の居眠りだって、寝てるのにみんなの会話とか動きは大体分かってたし。
普通に寝てても警戒中なら、部屋の前を誰か通っただけでも起きたりするのに…

なんで体を触られても起きなかったのか、不思議でしょうがない。
ついでに言うと、なんで俺が今、ヒソカの両頬に手を当てているのかも分からない。

何故か不意に、キスがしたくなった。

俺は以前の仕返しだとばかりに、そのままキスをしてやった。ざまーみ、ろ…!?

どうやら起きていたらしいヒソカは、俺の後頭部をがっしりと押さえ込み、舌を入れてきた。
ああ…あの時の二の舞…

「ふぅん…あ、ぅん…」

長い長い口付けに、俺はヒソカの胸板を押す。

酸素を求めて開く口からは、喘ぎ声と唾液が零れるだけだ。いい加減離せ…!!

ヒソカを押す力を更に強めると、俺の唇をペロリと一舐めして、ヒソカは離れていった。

「起きてたのかよ」

俺は口元を拭いながら、ヒソカを睨む。
ヒソカはそんなのも気にした風もなく、話す。

「うん。さっきね」

いつだ。いつのさっきだ。
俺はムスッとして、ヒソカの胸に額を押し当てた。
こうなったら二度寝だ。

「はぁ…もういい。寝る」

「そう…」

ヒソカのどこか寂しそうな声に、俺は耐えきれずに、ヒソカの背中に腕を回した。
ぎゅっと抱き締めて、一言。

「おやすみ」

さらっと髪を縛っていたゴムを外して頭を撫でるヒソカ。
そのまま耳元でおやすみ、と返してくれる。

何だって言うんだ…
その声が、心地良いなんて…

それは、そう。
甘い麻薬のように・・・

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