Long 『HUNTER×HUNTER』 11 3次試験会場に向かう飛行船の中。 俺は暇だった。それはもう、暇だった。 やる事もなくとりあえず歩いていたら、あのオーラ。 だからっ!!ヒソカヒソカしいってば! 俺は周りの連中のマネをして、知らんぷりをして通り過ぎようとした。 「どこに行くんだい?」 「え?・・・ヒソカの居ないトコかな」 じろり、と視線が向けられる。 周りに居た奴らはそのヒソカの視線に耐えきれなかったのか、みんな消えていた。 「ここに居なよ」 そう言って、自分の横を指差すヒソカ。 うーん… 「じゃあ、寝ても良いなら、いいよ」 「…分かったよ」 その言葉を聞いて、俺は小さくため息を吐いて、ヒソカの隣に座った。 ヒソカの隣なら安眠を妨害される心配は無いよね、なんて言い訳しながら・・・ またトランプタワーを作り始めるヒソカの手をぼーっと見ながら、考えていた。 なんで、ヒソカは俺を殺さないんだろう? なんで、ヒソカは俺に優しいんだろう? なんでヒソカは・・・ なんで俺はヒソカに… こてんっと倒れてきた重みを感じて、そっとそちらを覗き見れば、眠ってしまったユウキが居る。 そんなに警戒されてないのかな、なんて嬉しくなったのは何故か、考えないでおこう。 さらっと髪を弄って遊ぶが、一向に起きる気配はない。内心ホッとしていた…何故。 じっと顔を見つめるだけで心があたたまる…何故。 その閉じられた唇にまた口付けたいと思う…何故。 傍に置いておきたいと思う。 傍に居てくれるだけで、どこか満たされる…何故。 自分の思考、行動に疑問がついて回る。何だと言うんだ。 「ん…」 寒かったのか、小さく身震いする君を見て作りかけのトランプタワーを崩して抱き込んだ。 君の体温が心地良い、なんて… ああ、でも…少しだけ。君をこの腕に・・・ [*前へ][次へ#] [戻る] |