Long 『HUNTER×HUNTER』
9
赤い玉が戻っていった先には、釣り竿を構えているゴンがいた。
やるなぁ…ゴン。
「やるねぇ、ボウヤ」
あ、同じ事思ってたし。
俺って、やっぱヒソカと思考回路似てんのかも…
あの釣り竿いいなーとか思ってたら、追い打ちを掛けるようにヒソカも釣り竿に興味を示した。
決定打?
後ろからなら殴れると思ったのか、退けない性格なのか、また殴りかかろうとするレオリオ。
・・・あ。
あっさり殴り返されてる。カッコ悪っ!
その隙をついてゴンが飛びかかる。
でも、ヒソカには思ってる程の隙は出来てなかった。
今度はゴンの首を握るヒソカ。
あれ。ヒソカの手とゴンの顔、同じ位の大きさじゃない?
俺はゴンにターゲットを絞ったのかと思って、警戒心を露わにヒソカを見ていた。
その時、急に笑うヒソカ。
「うん。合格だ」
俺はとりあえず、少しだけ警戒心を解いてそれを見る。
ゴンに何かしたら許さないぞ、とまでは思ってないけども!
取りあえずヒソカを睨みながら。
それも意味はなくて、すぐにゴンから手を離すヒソカ。
でも、クラピカが帰ってくるのは予想外だ。
今度はクラピカに行くか、と警戒しながら見ていたら、響く携帯の音。
「は?」
思わず声に出しちゃったじゃないか!
だって!あのヒソカがあんなのを持っているとは思わないじゃないか!
・・・別に、俺が持ってないからじゃないよ?
前は持ってたけどね!こっちの世界のはねぇんだよ!
一言二言話して、すぐに切るヒソカ。
そのままレオリオに歩み寄って、肩に担ぐヒソカ。
ゴンが名前を呼ぶけど、ヒソカはもうやる気は無いらしく、殺しちゃいないなんて答えてる。
彼も合格だから、と聞こえた。
合格の基準って、なんだろね?
「どういう事!?レオリオを返して!」
「返して欲しかったら、ついておいで」
ヒソカはレオリオを担いだまま、歩いていってしまう。
俺は言葉通りについて行く事にした。
まあ、死ななかったしいっか。
こっちを一瞬だけ振り返ってみたヒソカに肩を竦めて。
ゴンとクラピカは少し遅れて来た所為で、俺が振り返っても居ない。
それを確認してから、レオリオが気絶してるのを確認して話し出す。
「クラピカも合格?」
「うん。合格」
俺はそれに曖昧な返事を返して、考える。
弱すぎずに、ヒソカに向かっていった奴は合格?
「じゃー俺は?」
「勿論、合格」
俺の時だけウインク付きで語尾にハートマークが付いてるんですけど。
俺はそっぽを向いた。
ちぇとか聞こえたけど、無視。
レオリオをそっと見るけど、確かに大したことはなさそうだ。
最初にした腕の傷と、殴られた跡だけだしな。
それと、ヒソカと居ると沢山動物に襲われる気がするんだけど。
血の匂いでかな?
まあ、全部返り討ちだけど。
「じゃぁね」
「ん」
ヒソカはレオリオを木に寄り掛からせると、どっかに行ってしまった。
俺は取りあえず、レオリオの横に座った。
「見たところ、そんなに酷くないよな…?」
レオリオを見てからふうと一息ついた。
しばらくして、終わりを告げる銃声が聞こえる。
そのすぐ後に駆け寄ってくるゴンとクラピカ。
「腕以外、大した事はないと思うよ」
俺はそれだけ告げると、他の人の群れに紛れるようにしてその場から去った。
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