Long 『HUNTER×HUNTER』
7
後ろからヒソカヒソカしい感じがして、俺は振り返る。
あー!
ヒソカもサトツ走りしてる!!
いいなぁー…
じーっと見てたらウインクされて、さっきのカードを投げ返してやった。勿論、念を込めて。
まあ、そんなのも伊戸も容易く受け取られて、カードにキスをしてみせるヒソカ。
・・・やっぱり自分でつけたのか。
俺は段々濃くなってきた霧に遮られて、見えなくなったヒソカに安堵のため息を吐いた。
だって、変態なんだもん。
走ってたら前から蛾が飛んできて、俺は取りあえずはたき落としてみた。
虫、あんま好きじゃないんだよね。
後ろの方に居た、虫に対処できなかった奴は、何故か倒れた。
・・・なんで?
気持ち悪さに耐えきれず、気絶とかじゃあるまいし。
ゆっくり歩いていた俺は、あまり周りに人が居なくなったのを感じて、しょうがなく少しだけスピードを上げた。
だって、折角見学の為に速度を落としたのに、見れなきゃ意味ないでしょ。
そうすれば、恐らくレオリオに合わせて走ってたのだろう。
レオリオと、クラピカ。
それと…なんか弱そうなやつ。
奥で何かがボウッと光って、その弱そうな連中は叫ぶ。
「迎えが来たぁ」
「あの世への?」
おれが呟いたのに、誰かが振り向く。
もう、遅いよ。
光る触覚みたいなのが幾つも栄えた大きな亀が、そいつ等に襲いかかった。
なんとか避けて逃げてった奴ら。
あーあ。そっちもハズレ。
地面からなんか緑色の巨大な生物が出てきて、丸飲み。
別の方に逃げる奴ら。
足下の毒茸みたいなのを踏んで、爆発。
戦隊モノみたいな色付きの煙が出ている。
んー…思ってた程、面白くないなぁ。
その時。
辺りにトランプの雨が降る。
俺は全部はじき飛ばす。
だって、一枚だけさっきのとそっくりなのが見えて不愉快だったんだもん。
「痛ぇー!」
レオリオの声が聞こえて、俺はレオリオの方を見る。
腕に刺さったトランプ。
…痛そうだね。
笑いながら出てくるヒソカ。
やっぱ、ヒマしてたのかな?
「試験官ごっこ」
「あ、いーなー」
俺がぼそっと呟いたのが、どうでもいいような雑魚に聞こえていた見たい。
まあ、いっか。
レオリオとクラピカに聞こえてなければ。
なんか色々話してるヒソカ。
やっぱ、退屈だったみたいだ。
なんか、沢山話してるけど、ヒソカに文句を言ったやつはあっさりと殺されてしまう。つまんない。
「冥土のみやげに教えてあげる…奇術師に不可能はないの」
わあ、すごい。
じゃあ、俺の世界に行かせて下さい☆なんてね♪
帰っても、絶対つまらないから興味ないけども。
みんな臨戦態勢でヒソカを睨む。
あー…釘バットみたいなのがある。
クラピカはレオリオを庇って、戦うつもりらしい。
俺はもう少しだけ後ろに下がって、霧に潜んで眺める事にした。
だって、あのヒソカの生戦闘。
見とかなきゃ損でしょ。
結局、天空闘技場では見れなかったし。
俺は気付かれないように、気配を消して目をこらした。
他の人よりも、広範囲見える自信はあるしね。
ヒソカはカード一枚で全員を倒す、と宣言して踊り出す。
宣言通り、カード一枚で次々と倒していくヒソカ。
や、戦ってるんだろうけども。踊って見えるんだよね。
・・・よっぽど暇だったのかな?
逃げていく奴も笑いながらさようなら。
なんだろう、笑い方気持ち悪いよ、ヒソカ。
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