Long 『HUNTER×HUNTER』
15
「ありがと!」
そうやって言えば、ウエイトレスは赤くなりながら小走りに戻っていく。
うん。別に、俺がおかしくなった訳じゃないな。
スプーンですくって食べようと口を開ければ、目の前から視線を感じて止める。
「…何だよ」
「可愛いもの食べるんだねぇ」
「うるさいっ」
確かに、オムライスとか子供っぽいと思うけど!
いいじゃんか!好きなんだから!
少しだけ、気にしてるんだぞ。子供味覚。
カレーとかハンバーグも密かに好きだ。
俺は半ば自棄になりながらガツガツ食べる。
しばらくしたら俺のケーキセットと、ヒソカのコーヒーが届いた。
ケーキを見てまたヒソカが笑ったけど、俺はじとっと見るだけにしておいた。
「ヒソカはコーヒーだけなの?」
「うん。お腹は空いてないしね」
「なら何で来たんだ?」
って聞けば意味深に笑うヒソカ。
・・・愚問か。
俺をからかいに来たんだ、コイツ!!
俺はこれ以上からかわれる事のない様に、さっさと全部食べれば支払いを済ませようと立ち上がる。
なのにヒソカもほぼ同時に立ち上がって、俺の分まで伝票を持って行ってしまう。
「ちょっとヒソカ!」
「なぁに?」
「いや、何って!それ…っ」
「いいよ。相席の御礼」
なんて言って、伝票にキスしてみせるヒソカ。
なんなんだ…!!
いや、様になるんだよ。
元が美形な分、何をしても画になるんだ。
俺が女なら惚れてるかもな…
なんて思って、速攻で自分に言い訳をした。
違う!俺は男だから!惚れてはないけどな!?
その後、カフェを出たらまたねなんて言って、ヒソカにしてはあっさりと帰って行った。
・・・なんか、拍子抜け。
その後もそれなりに戦い続けていた俺は、試験が目前に迫ってきたのを思いだし、天空闘技場を後にした。
ヒソカへの少しの疑問を胸に燻らせたまま…
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