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Long 『HUNTER×HUNTER』
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ウソだって解ったけど、それを追及して、さっきの俺のウソまで穿り返されたらたまらない。

俺はふうんとだけ呟いて、言葉を止めた。


すればヒソカの声がするでもなく、俺も喋るのをやめた所為で部屋は静寂に包まれた。

俺はそれに耐えきれる訳もなく、後ろに倒れ込んだ。
ぼふっと沈む柔らかな感触が心地いい。

「どうしたんだい?」

俺が倒れたのが気になったのか、ヒソカが静寂を打ち破って、俺の方に向き直って話す。

「んー…眠いなぁと思って」

まあ、嘘じゃない。
だって、今日は疲れたんだ。
町中を歩き回ってみたり、慣れない絶を使ってみたり、初めて炎狼を長時間出してみたり…

瞼が重くなってきて、ベッドに埋もれる体が雲に寝そべっているかのような心地よささえ感じてしまう。

「じゃあ、泊まっていきなよ」

なんて言われた日には、今の俺には天使のささやき位に感じるんだ。

さらっと俺の髪を撫でた手にすり寄るように、ヒソカの方に向いてまどろみ始めた声で答えた。

「うん…」

だって、こんなに優しく触れる手なんていつぶりだろう。
とても心地良い感触にどんどんと眠りへと誘われる思考の端で、一つの疑問が浮かんで消えた。

『ヒソカの手が優しく触れている…?』






さらっと髪を揺らせば、彼は頭を動かして少しだけ唸った。

縛った髪が邪魔なようだったので、眠りに落ちたばかりの彼を起こさないように、優しく優しく髪をとめるゴムを取ってやる。

「…?」

『なんでボクはこんなにも優しく接して居るんだろう?』
一陣の疑問が頭をよぎる。

けれど今は、この感触に、この匂いに、この体温に触れていたい。
そんな思いの方が勝ったから、そんな疑問なんて遠くへ追いやってしまった。

寒かったのか少しだけ身震いした彼を抱きかかえて、布団に潜り込んだ。


今はただ温かいキミを−−−

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