Long 『HUNTER×HUNTER』
8
「ねえ、キミ…なんで絶使ってるの?」
ありゃー。やっぱバレてたんだ?
俺は小さく肩を竦めて、絶を解いた。
「やっぱバレてたか」
「もちろん。だってキミ、強そうだし」
どんな理屈だよ、なんて微笑するが、俺も似た様な判断をしたりするし否定はできなかった。
「で、何のようデスカ?」
言えば、あのヒソカにしては珍しく歯切れ悪く、小さく唸りながら不思議そうな顔をしていた。
「おーい?」
「キミ、名前は?」
「は?ユウキだけど」
今の質問は間を繋ぐためのものだったのか、ヒソカはまた黙り込んでしまった。
自分でも解っていなかった。
どうしてこのユウキを引き留めているのか。
確かに強いから気にはなっている。
だが、それだけじゃない。
何故…
ヒソカは自分でも解っていなかった。
一瞬のうちに自分の中に出来た感情の正体。
今の状況の理由。
言葉に詰まってしまった訳。
全ての答えは一つになるのだが、それが解らずに居た。
唯一口から出た言葉は名を問うだけのもの。
だが、何故かしっくり来た。
「なんでそんなこと聞くんだよ」
不思議そうにこっちを見てくるユウキに、ぽろりとある言葉が口から出てしまった。
「キミのこと、知りたいから」
ああ、そうか。
自分の事なのに、やっと気付かされた。
彼の事を、知りたかったのだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!