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Long 『HUNTER×HUNTER』

カフェから出てきた俺はご機嫌に腹をさすりながら、満足そうに頬が緩んだ。

「ふあー…腹一杯だな」

自分の言葉が入ったばかりのエレベーターに響いて、エレベーターガールが小さく笑った気がした。失礼な!

途中で開いたエレベーターでふと、ある名前が聞こえた気がして、そのまま降りてしまう。
かわりに入ったデブなんて気にもならずに、声の方へと人混みを縫って進む。

ヒソカ戦のチケットを売っている小柄な男が目に入ってきて、つい買ってしまった。
が、ヒソカ戦までは時間があったため、適当な試合を見て時間を潰すことにした。

大柄な男や屈強な男、何人かで参加している者に細い人奴…あ。女も居るーvでも残念。俺、マッチョ女は勘弁。

いろんな奴が戦っていくが、俺は退屈で欠伸が出てしまった。
どいつもこいつも…予想よりも遙かに弱い。

「あんなのなら炎狼の方が強いよなー」

「わん」

炎狼に向かって首を傾げれば、炎狼はもちろんだと言わんばかりに返事をした。
ふむ。謙虚じゃないのは俺似。

「じゃ、もうちょっと上の階見に行こうか」

後ろで嬉しそうに吠えた炎狼を確認しながら、俺はヒソカ戦が行われる階の近くまで行った。
あと2、3試合は見れそうだな。

再び試合会場(さっきよりも幾分上の階の)に足を踏み入れる。
その瞬間に肌にピリリとした心地良い緊張感と、適度なさっきを感じた。

少し眺めただけでも、念を使っての戦闘につい目を奪われる。
殆ど…つーか、全員かな?が念を使えてる様だ。

さっきの階で絶を始動させといてよかった、なんて小さく笑った。
まだ見物人、だしな。

空席はないかと、入り口の目の前でキョロキョロと辺りを見渡す。
奥の方になんとか少しの空席を見つけて、目線をそこにやりながら歩き出したら誰かにぶつかった。

「わっぷ。すんませーん」

やる気なさげにとは言え、取りあえず謝っておく。
ぶつけた鼻先を押さえながら顔をあげれば、視界には大きなスペードとクローバー・・・
更に目線をあげれば…あら不思議。

「ヒソカ」

あ、声に出しちゃった。ま、いいや。
俺はもう一回謝っておくと、炎狼の背に手をやり、そのまま歩き出そうとした。
確かにヒソカの事気になっていたけれど、今はまだいーや。

「ねぇ」

目の前に腕。横に、あのヒソカ。
どうせ会うなら試験までのお楽しみ♪とかが良かったんだけどなー(笑)

俺を探るように見てくるヒソカを見返すと、口元がくいっとつり上がった。
おお…俺、気に入られる程に強かった!?いえーい♪

「なんで僕の名前知ってるの?」

ああ、そっちかー。
俺は小さく唸るとひらめいて、ポケットに手を突っ込んでさっきのチケットをヒソカの目の前に差し出した。

目の前に突き出された手に一瞬ビックリしたみたいだけれど、手に持たれたそれへとすぐに視線を移す。
それを確認して、俺は追求される前に笑って付け足した。

「ほら、有名だし、な?」

「ふぅん」

ヒソカは絶対に信じちゃいないだろう顔をしてるけど、口には出してないのでよしとした。

ヒソカが俺との距離を詰める。
言い寄られているかのように顔が近付いてきたけれど、喧嘩でもふっかけてくれるのかと内心楽しんでいた。
それを知ってか知らずか、炎狼が小さく唸ったけど、手の平を炎狼の顔の前に差し出して止める。

「くぅーん…」

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