Long 『HUNTER×HUNTER』 5 あの後、どんどん上がってきた俺はお金もそれなりに手に入ったし、今日は買い物に出かけることにした。 だって、着替え(洗って着回すのは疲れたし、制服はもう嫌)だって必要だし、身の回りの…日用品位は買いそろえたかった。 なんて頭の隅で考えながら、周りの会話にこっそりと耳を立てつつ(これはもう癖だ)エレベーターに乗った。 ハンター試験…何回か聞いたけど、もう少しらしい。いつ? ざわざわと活気のある街に出てみれば、この前には気付かなかったところにも目がいく。 ここらでは珍しい雰囲気の古風な建物や、お子サマ厳禁っぽい雰囲気の建物…コロシアムないのかな? そんなどうでもいいような些細な事がどこか面白くて、辺りを見渡しながら歩いた。 ・・・道場とかは? とりあえず、手頃そうなどこにでもありそうな服屋に入り、何枚か手に取る。 基本シンプル、且つスポーティー☆俺の好みっぽい店だ。 こっちの黒いのとあっちの白いの、それとそこの薄手のパーカーもいいな。 なんて適当に手に取ってみるけれど、本当にあまりにも"適当"なセンスに自分でも首を傾げた。 ・・・センスが悪いのも否定は出来ないが、俺はそれよりも動きやすさや着心地を重視する派だ。 適当に決めたらレジを済まして、店から出たら炎狼(この前の試合後に思いついた)を呼び出して、背中の無限の鞄の中に突っ込む。 うん。この能力にして良かった。 便利だし、狼って見た目が格好良くて見た目は好きだ。 そのまま歩いていたらあったアクセサリー店で、ふと目に止まったピアス。 耳の後ろ側から3つの犬っぽい爪が耳たぶを覆うような形で、俺と目があった瞬間に光った気がした。 ピアスなんて開けたこと無かったし、興味も無かった。 けど、何故かそのデザインに惹かれて、店員に開けて貰ってまでして買ってしまった。 ウルフファングという名前だったそれは、狼型という訳でもないのに、どこか炎狼に似て感じて…買ってしまった。 能力向上になるんじゃね? 「ど?お前に似てると思って、買っちゃった」 なんて言って、炎狼に目線を合わせる様にしゃがんでみせる。 耳に掛かる髪を払いながらそれを覗かせてみると、炎狼はじっとそれを眺めた。 「おんっ」 どこか嬉しそうにそう吠えた炎狼は、そのまま俺にすり寄ってきた。 サラサラでツヤツヤの綺麗な毛並みが俺の肌を滑って、とても心地良い。 なんだ、俺が創った割には可愛くできてんな♪ 「気に入ってくれたんなら、買って良かった♪」 俺もつられて笑顔になりながら、喜んでいた。 さっきの買い物の成功と、素敵な念を生み出せたことを。 俺から出来たものだからか、お礼状に俺の好みを理解して、そう出来上がっているらしい。 その後もフラフラといろんな店を覗きながら歩いた。 途中、通り過ぎた強そうな奴とやりたいなーなんて思いながらも、顔を覚えるだけで我慢することにした。 炎狼が止めなければ、殴りかかっていたけれども。 そういえば、こいつには俺のストッパーをさせるつもりだったんだっけ…そうか。成功? ここらで強そうな奴って事は、天空闘技場の選手だろうし…我慢しておいてやろう。 そういえばさっきの変な男が話してるのが小耳に入ってきたけど…ハンター試験は、来月ね。 たしかそんくらいだって聞いてたけど、詳しい日数まで解って儲けた儲けた♪ 「帰るか、炎狼」 「わんっ♪」 太股に猫みたいにすり寄ってくる炎狼を撫でながら、こういうのは好きだなぁ…なんて口元に笑みを携え、天空闘技場に戻った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |