Long 『HUNTER×HUNTER』
13
「お前…バカだろ」
状況判断能力…微妙。
念の力だって、念縄以外は使って見せない。
否…恐らく、あれしかないのだろう。
「俺、雑魚嫌いなんだよね」
上に跨っている不愉快なそいつを、どうにか両足纏めたままの状態で蹴り上げてみる。
それによって、何とかそいつをベットから落とす事に成功。
それでも俺はバランスを崩してしまったけれど、何とか上半身を起こす事にも成功した。
そのまま再び腕に力を込めてみるけれど、やっぱり外れない。
足を縛っている念縄に手を触れてみるけれど、縄という割には感触は違うし…
「っあ!ぐ…っ」
起き上がったそいつは俺の首を押さえ込んで、そのままの勢いでベットに叩きつける。
ったく…
めんどくさい…
なんて思っていられたのもここまでで、そいつの両手が俺の体を触っていく…気持ち悪い。
服が脱がされて、手を縛る縄につっかえる。不愉快。
喉から手が離れたのを見計らって、俺は恥を忍んで大声を上げた。
「ヒソカーーっ!!ぁぐっ」
「五月蝿いよ」
口を押さえられたかと思うと、そこから再び現れた念縄が口を覆う。
これで来なかったら、もう話せないってわけだ。
暫くすると、トランプが目の前の男の顔を切り裂いて壁に刺さった。
トランプが刺さった壁と逆の方を見やれば、妙に殺気立っている真っ赤な髪をしたヒソカ…染めた?
ぱたぱたと上に居た奴から血が流れてきて、俺の顔に滴る。
生ぬるいし、コイツの血は臭い。気持ち悪…
どくん。
血が、疼いた。
目の前の奴をヒソカがけりつけると、そいつはどさりと反対側へと倒れ込む。
俺の口に付いている念縄に何かしたらしいヒソカのお陰で、口から縄が消えた。
「で。何をしてるのかな」
「えー…捕まった?」
ヒソカの黒い笑いが見えて、俺は誤魔化すように手足の縄も解いてと促した。
「ぐっ…俺がこれう゛ぇ」
顔を手で押さえながら起き上がったそいつに、ヒソカがトランプを投げつける。
ただの肉片になってぼとぼとと落下したそいつをみて、俺の中で何かが沸き上がろうとしていた。
ギリと歯がなったのが聞こえて、俺はそいつに歩み寄ろうとしている自分に驚いた。
「どうかしたのかい」
「・・・殺したい」
ヒソカに聞かれて、嘘も吐かずに思った事を答えてしまった。
それによって、止めていた足を再び動かす。
足下に落ちている人だったそれを蹴けとばすと、べちゃっと汚い音と不快な匂いがした。
守る事を望んだのに…結局俺は、殺しの快感を忘れ切れていないのだ。
だんっと足を踏み降ろしたら、また肉が潰れる音と骨がごりっとなった。
・・・これじゃ、何も変わってない。
ふと視界が闇に包まれて、腰に腕を回されて後ろから抱き締められた。
血の臭いに混じって、ヒソカの香り…
「それは、ボクの仕事v」
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