Long 『HUNTER×HUNTER』
11
翌々考えてみれば…こっちに来てから飛行船での移動ばっかな気がする。
こっちでの主な移動手段って飛行船?
そして、今日も相も変わらずに飛行船の中。
いい加減、飽きそうだ。
「ヒソカぁ」
「何だい?」
「飛行船飽きた」
そう言いながら、随分前から俺を話さないヒソカを睨み付ける。
移動中、しきりにスキンシップを取ってくるのだ。
暇だったとか、クロロとの決闘に向けての興奮か…いい加減、下ばっかりじゃ腰が保たないんですけど!
「クロロってそんなに遠くに居るわけ?」
聞いたけどね!?
G・Iの魔法?呪文で、アイジエン大陸(アジア大陸っぽかった気がする)の中央まで飛ばされたって。
そんで其処はここから凄い遠い。
その間の移動中ベタベタベタベタ…
女の体でもするし、二倍かよ!?
「ヘンタイめ!!」
再熱してきた怒りに身を任せて、無防備に俺にひっついたままのヒソカの腹部を殴ってみたけれど、なんとか防がれてしまってダメージ半減。
ヒソカはそのまま無言で俺にのし掛かると、にっこりと嫌な笑い…
「・・・まだ大丈夫そうだね」
冷や汗が頬を伝った気がしたのも、きっと間違いじゃないだろう。墓穴を掘りました!!
「無理だっつの!!何回すれば気が済むんだドアホ!…ごめんごめん、無理です!すんません!!」
よってくるヒソカの顔を押し返すけど、それでも手や足は動く訳で…悪化しただけ。
謝る方が得策だろうとさっさと謝ってしまった。
なんとか少しだけヒソカの体を押し返す事に成功した俺は、そのままベットから飛び出す。
乳がついてると邪魔だな…
ゴン達がG・Iに行ってから、数日…つまんないよー!
「・・・嘘?」
「どれが?」
つまり、沢山嘘ついた訳ね。
でも、今一番の問題を聞こうと、着かけていた服を一気に纏った。
そのまま軽く整えながらヒソカの横に戻ると、問いつめるべく、軽く睨み付ける。
「クロロの事、嘘?」
にっこりと、効果音がつきそうな程の笑顔を向けられて、俺は確信した。
嘘つきめー!!
っていうか、だとしたら今までドコに向かってたんだよ、俺達は!?
ヒソカについてくるなと言い捨てて、俺は部屋を出た。
飛行船から飛び降りるのは最終手段として取っておきたかったから、結局飛行船内の喫茶店で外を眺めているだけだが。
流れゆく雲と空、そして小さな陸地を眺めて、届いたアイスティーをストローでかき混ぜる。
たしか、東へと向かっていたのだ、俺達は。
団長の占い結果もあったから、それでまるっきり信じていた・・・のが、間違いだった訳だが。
こっちの地理を勉強した訳でもないから、結局ほとんど何もわからないようなものな訳で。
こうやって眺めていても何も解らないのだ。
「相席、いいかな?」
相席という単語にあの時の奇術師さんを思い出して、小さく眉間に皺がよってしまっう。
振り返った先に居たのはあいつとは似ても似つかない、爽やか系お兄さん。
自分の格好も含めて、とりあえず愛想良く微笑んで、向かいの席へと促す。
「ええ、構いませんよ。どうぞ」
ヒソカと違って、こいつなら見返りはなさそうだし、俺は女の格好してるし。
うまくやれば、情報や今の位置とか、把握出来るかも知れない。
いかにも朝食というような、クロワッサン?とかとコーヒーを食べながら当たり障りのない会話を持ちかけられる。
チャンス、と心の中で思いながら、俺はあくまで可愛らしい女を演じて話しの主導権を握ろうとする。
「ちょっと、失礼しますね」
「ああ…どうぞ」
にっこりと微笑んで小さく首を傾げると、俺はそのままトイレに入る。
女子トイレの中って、こうなってんだ…じゃ、なくて。
あいつ、何なんだ!?
爽やかでいて、どこかとぼけた雰囲気なのに、どうやっても話しの主導権が握れない。
そして、限りなく一般人に近付かせようとしてるけど、漏れ出てるオーラ…きっと、強い。
ヒソカには及ばないだろうし、多分俺も負けないだろう。
けれど…なんか、変だ。
「ハズレ引いたかなぁ…」
もっとこう、バカっぽくて単純で、簡単に情報引き出せるタイプがよかったのに!
しょうがない、かぁ…
とりあえず鏡を見て、変化かが崩れてないのを確認してさっきの席に戻った。
「すいません」
「いえいえ」
にっこり、と爽やかに笑うその笑顔、俺が何かを誤魔化す時の笑い方にそっくりなんだ…
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