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Long 『HUNTER×HUNTER』
10
「ちょっと、ゴメン」

先を歩いている2人に声を掛けると、携帯を取り出しながら少し距離を取って、2人に背を向ける。

しばらくの電子音でさえも、長く感じてしまう辺り…なんというか;
とりあえず、5時になるから駅に向かっていると言うのに…長電話もよくないだろう。

「やあ、ユウキ。どうしたんだい?」

・・・奇術師モード入ってます。

「クロロと連絡取れたの?」

「・・・盗聴?」

「アホか!!」

連絡取れたって事だよな?
しかもそんな事言うって事は、ついさっきとか?

ナイス俺!!ナイスタイミング!!
思わず携帯持ってない方の手でガッツポーズしちゃったよ!

「で、で?クロロと何話したの?今どこに居るって?」

あ。
今絶対ヒソカ不機嫌になった。
解りやすー・・・
ため息は吐かないで下さい?

「G・Iだって」

・・・んん?
クロロって念使えないんだろ?なんでG・I?

あれだろ、だって、クロロは東に行った訳で…え?
じゃあ、やっぱ、G・Iって現実だったとか、そんなのか!?・・・うっそー。

「ちょ、今どこ?クロロに会う?」

「これからクロロの所に行」
「俺も!!」

「・・・この前のホテルに来て」

「解った!」

ぶつっと勢いよく電話を切って、携帯を仕舞いながら振り返る。

どうしたの、ってな顔をしているゴンと、やっと終わったのか的なキルア。
俺は2人に心底申し訳ないです!行かないなら、待ってて貰わなければよかった…

「ごめん!行けなくなった」

「えぇー!?」

「ホントごめん!!」

顔の前で手を合わせて、頭を下げる。
思い返せば、俺がこんな真面目に謝ったのなんて初めてかも知れない。






指定されたホテル内に駆け込んで辺りを見回す。
ホテルに、としか言われてないから、ロビーか部屋か別の場所か解らない。

しばらく辺りを見渡していたら、壁に寄り掛かっていた目的の人を発見して駆け寄った。

「ごめん。待った?」

「・・・誰だい?」

言われて、俺は自分の今の状況を思い出した。

ゴン達と別れてから、仮面武器で創った変化機能付きの仮面を付けた。

だから今の俺はいつもと違って、少し背が低くてロングヘアの女。
創る時に失敗したからか、少したれ目になってしまったが…今は関係ナシ。

・・・つまり。
ヒソカにしてみれば、知らない女に急に親しげに話しかけられたって事か?

っていうか!!
『何で気付かないんだよ!?ヒソカのバカ!!』とか、『俺だって気付かないって事は、念が上出来だって事だ!喜べ!』なんて、正反対な2つの思いが頭を支配していった。

・・・俺がこんな恥ずかしい事思ってるのに!!ヒソカのバカ!!

「ヒソカさんですよね?ユウキに言われて来ました」

えっと…なんて名乗るべきかな…
にっこりと微笑みながら、できる限り女に見えるように振る舞いながら、一拍開けて思い立った名を告げた。

「思喰屋-イーター-と申します。クロロ、と言う方の念を消すようにと…」

恥ずかしいわドアホ!!
なんでヒソカに敬語使わなきゃなんないんだよ!?

笑っていた口元が恥ずかしさで引きつるが、無理矢理笑わせて続けた。
どこか驚いているようにも見えるヒソカは、それでも奇術師笑い?悪戯笑い?を浮かべている。

「ふぅん…」

じろじろと俺の姿を上から下まで眺めると、意味深に笑って腰に腕を回して歩き出すヒソカ。

なんだよ!?
初対面の女にも手を出す訳!?って、それ俺だってば!!

俺は殴ってやりたいと震える拳を必死で戒めながら、苦笑混じりに腰に回された手を退かそうとする。
けれど、ヒソカの馬鹿力の所為でどうやってもビクともしない。

「あの…腕」

「で。なんでそんな格好してるんだい?ユウキ」

「な…な…」

パクパクと口が動いている割には、言葉が出てこない。
そして、一番の問題…

「気付いてたのかよ!!」

くっそぅ…
気付いてくれてたってのは嬉しいけどさ…けどさー・・・

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あきゅろす。
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