Long 『HUNTER×HUNTER』
9
ステージの中に行くと、どこかへと続く道があった。
其処を進むとツェズゲラがいる部屋について、壁にはゴンがしたのだろう大きなへこみ…
「練を見せて貰おうか」
「練?練だけ?」
だって練って、オーラを通常以上に出すのじゃなかったっけ?
むむむ、と俺が首を傾げたら、お前もか、みたいな顔をされてしまった。失礼な!
ツェズゲラは組んでいた手を解くと、頭を抑えながらため息を吐く。
俺が眉間に皺を寄せると、ツェズゲラはもう片手を腰に置いて告げた。
「練を見せろとは、ハンター用語で鍛錬の成果を見せろという意味。つまり、どの暗い強いのかを問う言葉だ。実力の程が解れば、何でも構わん」
「へぇー…そうだったんだ。んじゃ、遠慮無く」
消えゆく思物は選考会くらいで使うにはリスク高すぎだし、仮面武器ではぱっと見地味…?
そしたらやっぱり…
すっと手を前へと突き出すと、心の中で呼びかける。
姿を変えてから、初めてのお仕事だよ。頑張ろう…
「炎狼-フレイムドッグ-!!」
ぼっと音を立てて手の前に火が出て燃え上がると、それは狼の形になっていく。
真っ赤な強い目は、炎狼のままだ…
嬉しくなって、炎の固まりになってしまった炎狼の頭を撫でた。
「っ!?」
ツェズゲラが息を潜めた音と、地に擦れた靴音で、俺は我に返った。
ふっと炎狼から手を引いたら、炎狼は消えてしまった。
「おっと…ね、不合格?」
「いや…合格だ。しかし…これだけのオーラを練って炎として放出するとは…君も何かあるのか」
君も?ゴンか、キルア…
キルアの方かな?に、何か聞いたのかねぇ?
驚いて歩み寄ってきたツェズゲラのその言葉に、俺はどう答えようかと一瞬戸惑った。
誤魔化しも嘘も真実も、別に言わなくてもいいかも…なんて、思い至って、俺は出口へと歩み寄った。
そいつがまた何かを言おうとした気配を感じて、俺はドアノブに手を掛けながら振り返った。
「俺は、特別だよ」
そうだ。
俺はこの世界の常識にも、あっちの世界での常識も当て嵌まらなくなってしまったんだ。
そう思ったら、自分で言った事なのに、少しだけ寂しいような感情が生まれてしまう。
俺はそれを掻き消すかのように、大きく息を吐き出してからドアを開けた。
デブ、ブサイク×2、プーハット、変眉毛、まっくろくろすけ、可愛い女の子…
んで、ゴンとキルア。
俺の顔を見て手を振った2人に笑顔で手を振り返すと、俺も2人の傍へと進む。
ガラガラに空いている部屋をもう一度見回しながら、2人の横に腰を下ろした。
「さっきの凄い音、ゴンだろ?技?」
「うん」
わしわしとゴンの頭を撫でながら、素直に凄いと誉めた。
キルアが一瞬変な顔をしたのは、拗ねたからだと勝手に想像して、俺はキルアの頭も撫でた。
「キルアも、凄いのやったんだろ?」
「っ、あったりまえだろ!」
素直で宜しい♪
そうこうしてる間にも、俺達の後からの合格者も3人入ってきて、ツェズゲラがその後に続いて来る。
2人の頭から手を退かすと、そっちへと意識を向けた。
ゴンとキルアだって、もうそっちへと注目している。さすが…
「さて。とりあえずおめでとうと言っておこう。君達21名にG・Iをプレイする権利を与える。ゲームをクリアした場合に限り、バッテラ氏から500億Jの報酬が出る。詳細は契約書にあるので、目を通しておいてくれ。午後5時にヨークシンを出発する。それまでに契約書を読み、サインを済ませ、プレイの準備を終えてターセトル駅の中央口に集合してくれ」
・・・さて。
俺は手元の配られた契約書を弄りながら、ツェズゲラの話しを聞いていた。
帰ろうと促されて、俺は契約書の紙端を弄りながら2人について会場を後にする。
当たり前だけど、500億Jなんて俺はいらない。
もう一度、電話でもしてみようかな…
5時までにクロロとの連絡が取れなかったら、行ってみよっか。
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