Long 『HUNTER×HUNTER』
8
「バッテラのプレイヤー選考会…ねぇ」
2人は行くって言ってたけど…俺はどうするかなー…
占いを信じるならば、1人で何かをするのはよくないだろう。
けど、ヒソカも旅団も協力してくれそうにないし、クロロとも連絡が取れない今、共に行動出来そうなのはゴンとキルアだけ…仕方ない、か。
「待ってー!俺も行く!!」
先に出ていこうとしてしまった2人に、手を振りながら駆け寄った。
懸賞金ハンター、なんてのもあるらしくて、あの時ゴン達と話していたツェズゲラ?がそうらしい。
そして、そいつの簡潔な説明によって、他の奴らは慌ててステージ横に並ぶ。
俺は目の前の椅子の背もたれに寄り掛かると、慌ててる人達の様を眺めていた。
キルアの様子を見てると、どうやらどう動くべきか考えてるらしい。
まあ、動かない者や、様子を窺う者、すぐに動いた者…色々居るしな。
俺はキルアの頭に手を置くと、わしわしと撫で回した。
触り心地の良い髪だなぁ…
「んな、心配すんなって!」
「なっ!?してねェよ!!」
気付かれたのが恥ずかしかったのか、少し頬を染めながら手を叩き落とされてしまった。
その様に、俺が小さく笑っていると、後ろから誰かが話しかけてきた。
「あいつらダメだな…てんで話しにならない」
「え?」
ぶー。
俺が言おうとしてた事を、そいつが言い出してしまった。
ま。そうは言っても、俺だって別にそこまで考えてた訳ではないんだけども!
だって、1つのゲーム機で8人できるなんて知らなかったよ!?
「なァ。そっちのボウズ」
そいつの声に、ゴンの隣に居たキルアと、その隣にいた俺もゴンへと視線を向けた。
片手を力強いオーラが纏っている。
「ゴン。お前気付いてたのか」
8人?って事を聞いてはいけないんだろうなぁ…
「いや。オレはそこまで考えてたわけじゃないよ。なんとなく、審査は厳しそうだから、32人も選ばれないんじゃないかとは思ったけど…それよりも主催者の側から考えたら…早い者勝ちとは言ってはいるけど、せっかく集めた人達の実力は全員確かめておきたいって思うのが人情かなって」
・・・ゴンの野生の勘は凄すぎる!!
「ガッハッハ!そりゃそーだ!!ボウズ、オメーの勝ち!!」
「あはははははっ!!ゴンすげー!!」
「いや、大したもんだよ。まだ小さいってのによ。自分の理を持ってそれに身を委ねるってのは、なかなか出来ねーんだ。正解への道が険しく危ない程、馬鹿と利口両方兼ね備えてねェと前へ進めなくなる。"理に依って無理に進む"ってやつよ」
よく喋るなぁなんて、感心していたら、黒服の人が次を促す。
どうやら、行列の方は殆ど終わったらしい。
そのよく喋る奴は格好付けて椅子から飛び降りると、振り返って名乗った。シャンプーハット?
「あーゆーウンチクたれんのに限って受からなかったりすんだよな」
「聞こえるよ」
ぴっとプーハットを指差して言ったキルアに、ゴンは苦笑混じりに告げる。
前の椅子に乗せた肘の上に顎をのせて、転びかけたプーハットの背に向かって、俺も続けた。
「落ちても気に病むなよ☆」
ぐっと親指を立ててウインクしたら、そいつは今度はしっかりと転んでしまった。
ゴンももう苦笑いしか出ないらしい。
それにしても…ああいうタイプは、まあ嫌いじゃないぞ。面白くて♪
プーハットの消えていったステージを眺めていても、当たり前だが、見えるのは今までと大して変わらない。
残りもあと少しだし、と体を前のめりにして、もう殆ど椅子のみに体を預けた。
行儀悪い事この上ない。
だるーんと前の椅子に腕を垂らしていたら、キルアが動くのが視界の端に映って、そっちに顔を向けた。
ジャンプして、数個先の椅子の辺りに飛び降りたキルアは、手を挙げながら顔だけで振り返った。
「先に行くぜ」
「がんばって!」
「楽しんで来いよー」
隣でガッツポーズを取りながら力一杯応援したゴンとは正反対に、俺は無気力にひらひらと手を振りながら言った。
応援していないんじゃなくて、体制上、腹から声が出ないだけだ!
キルアが行った後、俺が動かなかったからか、ゴンが席を立った。
すたすたとステージへと向かっていくゴンの背に、キルアの時と同様に手を振った。
「思いっ切りやって来いよー」
「うん!」
振り返って微笑んだゴンの目は、自信と…好奇心かな?を宿していた。
大方、ここ数日で手に入れた力を試したくてうずうずしてるんだろう。
ゴンがステージの中に消えてから、俺も椅子から立ち上がった。
同時に動こうとしたおっさんと目があって、俺はにっこりと微笑むと、一瞬にしてステージまで移動する。
ステージ目前まで来た時、中から爆発音にも似たそれが聞こえた。
「ゴン…?」
すっげ!新技!?
強化系だから…超強力なパンチとか?
でも、ゴンの事だから…その威力の大きさは俺にだって想像出来ない。
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