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Long 『HUNTER×HUNTER』

ゴンとキルアが隣の部屋に移動したのを見て、俺も建物彼ら出て外に出た。
何処行くの、なんて聞かれたからドコも行かないと素直に告げておいた。

建物の外に出ると、適当にそこら辺に腰を下ろした。

ポケットからマッチを取り出して、それを点火して手に持つ。
そのまま両手を胸の前に置いて、少し間を開けてそこに意識を集中させる。

ぼっと一気に火の勢いが増した音がして、マッチが燃え落ちて火だけがそこに残る。
ここまではいつもと同じ…と言っても、最後に使ったのは何時だったか…(苦笑)

その炎の中から炎狼を呼び出すように、両手の中に再び集中させた。
ゆらゆらと炎が揺らめいて、どうにか狼のような形をとってくれたけれど、どうにも安定しない。

「炎狼…?」

炎狼からの返事はなくて、すっと首を傾げるだけ。
実体がないと話せないのだろうか…?

とにかく、俺はこの姿を強く目と頭に、この念の感じを手と身体に強く刻みつけた。
いつでもこの姿で呼び出せなければ、意味がない。

「ごめんな、炎狼。もしかしたら、もう話せないかも知れない」

ふるふると頭を振った炎狼は、微笑んで風に吹き消されてしまった。
炎狼へと伸ばした手は触れることなく、風に吹かれただけだった。

最初に炎狼と無限鞄を創った時とかにも思ったけれど、創るたびに、難しくなっている気がするのだ。

だから、新しい能力はそろそろ難しいかもしれない。
つまり…今ある能力で応用技と新技を創らなければ、ってこと。

まあ、今ある能力だけでも結構多いからな…
これ以上会っても、ちょっと反則っぽいし、いいんだけど…

ちゃりっと音を立てた物に気が付いて、胸元に揺れる鍵を手に取ってみた。

「話しだけ、とか出来ないかな?」

「出来るぞ」

び、ビックリした…

テレパシーとかでよく頭に直接響いてくるとか表現してるのを、初めて体験した気がする。
頭の芯から体中に響くみたいな、俺自身がスピーカーにでもなった気分だ。

「聞きたい事があるんだけど」

「ああ。知ってるよ。説明してあげる」

なんか、今回のあいつの声はやけに高くて可愛い気がする。
今回の姿は子供か?

あいつの説明を要約すると…

俺の本当の念能力は、容器のような物らしい。
空き容量がなくなってきたから、能力を創るのが難しくなってきたんだと。

つまり、何か能力を消せば、また創れるだろう…とのこと。

「変な能力」

「まあ、俺の趣味だから」

あの変人の趣味だと聞いてしまえば、もの凄く納得出来る。
俺は引きつる頬を誤魔化しながらも、思うだけにしていた。

まあ、いいや。
何か消すか…でも、なあ…

「優柔不断になったね」

可愛い声で、可愛い言い回しなのに、どこかムカツクのはベースがあいつだからだろう。
それでも、自分でも思った事だから言い返せなくて、余計に苛ついてしまう。

「うるさい。もう良いから、帰れ」

「はいはーい」

ああ…頭に来る。
それでもすぐにこの鍵を握りつぶしたり、投げてしまったりしない辺り、確かにここに来てから俺は変わったのかも知れない。

消すとしたら…やっぱり、無限の鞄?
どうやって消すのか解らなかったけれど、創る時と同じように目を閉じて意識を集中させた。

無限の鞄がそこにあって、それを意識的にぼやかしていく。
暫くしたらそれは煙のようになって消えていった。

瞬間、無限鞄に詰め込んでいた物が全て目の前に次々と落ちてきた。
どうやら、能力が消えた所為で、中の物が出てきてしまったらしい。…まあ、いいや。

再び目を閉じて意識を集中させたら、何もない暗闇が広がった。

考え方によっては、俺の能力って粘土みたいでもあるよな…
新しいのを創るだけの粘土がなくなったら、イラナイのを壊せばいい…みたいな所が。

なんて考えていた所為で、新しい能力の形に反映されてしまったらしい。
外でしていたのにも原因があるのかも?

数多の顔を持つ暗器…
『仮面武器-クライウェポン-』

ぐにょんっと現れたそれを、ナイフをイメージしてうにうにと粘土遊びのように揉んでいく。
段々と形が出来上がってきたそれは、綺麗に形を成して、きらりと煌めいた。

「かんせー」

同時に二つ作れるとは…驚き☆
両足の太股に括り付けていた短刀をとって横に置くと、新しく作った二つの短刀をそこに置き換えてみた。

そっくりに出来たと思ってたけど…本物と区別がつかない程に出来てたみたい。
さすが俺!(笑)

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あきゅろす。
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