Long 『HUNTER×HUNTER』
3
命令口調に多少イラっとしたが、むすっとしながらもそちらを振り返る。
今コイツに逆らったら、面倒だが、強い奴に会える可能性が絶たれてしまうからな…特別に我慢してやる。
「お前を放っといたら、あのそれなりに平和な世界で暴れ回るだろ?」
「まあ、そうだな。壊し回るかもな」
腕を組んで、一応そいつの言葉に頷きながらも考えれば、その答えは容易に導き出された。
なぜなら、あの世界はあまりに退屈だからだ。
全てが退屈で、破壊心や殺意が疼いて…全てが消えていく。
何もないこの世界は、イラナイ。
「やっぱり…な」
ため息混じりに言うそいつにへらっと笑って誤魔化す。
だって、強い奴少ないんだもん。
俺にとって修行も戦闘も趣味みたいなもんだからな…
気が付いたら敵なしになってたし。
その上、いつの間にか俺の顔と名前はそこら中に知れ渡っていて…みんな避けて通る。
もっと強い奴がかわりに来たりもしたけれど、それ以上に俺は強かった。つまらない。
「だから、お前に合う世界に移そうと思ったんだ」
「そっか♪ラッキー!俺強くて良かった!!俺偉い!!」
「いや、逆なんだけどな?」
話しに飽きてきた俺はそこら辺に適当に座って、そこらに生えて揺れる花を引っこ抜いて遊んだ。
蜂が飛んできたのがウザくて、はたき落としながら。
「だから、聞け!!…そっちの世界に行っても、むやみに人を殺さない事。約束しろ」
まあ…殺さないだけならいいかな。死ぬ寸前とかで。
少し考えながらも、落下した蜂の死体を眺めながら適当に返事をしておいた。
「殺さずに戦うなら、いいんだろ?」
「・・・まあ、認めてやる」
「よし!んじゃ、早速行かせろー♪」
ため息を吐きながら言うそいつに、俺は上機嫌に返事をした。
こんなに機嫌が良かったのは、俺の足をへし折って見せた馬鹿力と闘って以来だ♪
だって、これから行くのは強い奴に沢山会えそうなトコ。
へし折るなんてのは可愛いもんで、きっと指を動かすだけで俺を殺せる人も居るだろう場所…
機嫌もよくなるってもんだ♪
そう思っていたら、さっきと同じ。またあのぶよぶよ感…気持ち悪いんだけどな?
不快感に眉を寄せていたらすぐにぶよぶよ感が無くなって、とこで辺りを見回してみた。
あの変なスライムみたいなのが視界から消えて、長すぎる変なタワー?がそびえ立つのが目に入った。
んー…なんだっけ…?
見覚えがあるのは解るんだけど…なんだっけ・・・?
「ああ、天空闘技場か!」
本日の教訓。
叫ぶと人の視線が集まるよ。気を付けろ。
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