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桜葉学園
19 動き




(――…手紙が送られてきたって)

(手紙?)




「…ついに、か」

先ほど"瞬"から電話があった。どうやら新チームの【銀鬼】が動き始めたらしい。

宣戦布告。
まさにそれだ。

【黄光】に一通の手紙がきた。

“一週間後に潰してやる”

信用できるかは別だが、手紙にはそう書かれていたらしい。

【黄光】からしてみれば、それは馬鹿にされたのも当然なものだった。

一週間も猶予を与えられ、その手紙には挑発的な内容が書かれていたからだ。

…そこまで、強い奴らなんだろうか。
見てみたい。
そのチームを。

「…見たいけどなぁ」

生憎、俺達は学園にいるので難しそうだ。
桜葉さんに頼んで外出するのもいいが、俺には他にやることがある。

…補習の馬鹿やろうっ!
そう、数学の補習だ。
これから放課後、毎日補習があり一週間後にテストがある。

「…重ならないといいんだけどなぁ」

喧嘩はきっと夜だろうから、テストが朝に終われば問題ない。

このテスト、受からなかったらヤバいしな。

…自分に腹が立つ。何で赤点を取っちゃったんだろう。

「何さっきから独りでブツブツいってるんでしょうかねー」

「…うげっ」

バコッと教科書で頭を叩かれた。顔を上げると、先生が腕を組んでいる。

…やば。
今まさに数学の補習中だった。

「話きいてましたか?」

「…えっと」

「…お前のために、わざわざ解説してやってんだろーが」

「ご、ゴメンナサイ」

山里先生。
生徒からはクールで格好いいと人気な眼鏡の先生。いつも丁寧語を使っていて、品がいいと評判……な、はず。

今、口悪くなかったか?

「少し職員室に行ってきますからプリント解いておいてくださいね」

固まっていると、先生はそう言って教室を出て行った。

俺はプリントに目を通す。

「…二次関数かぁ」

もちろん、これは今回のテスト範囲で、和に少し教えてもらったのだけれど。

「…わかんねぇ。何これ」

やっぱり数学は苦手だ。
どうしよう。

「…帰りたい」

先生もいないし、帰ってしまおうか。
いや、駄目だ。
後で何言われるか、わからないし…。

「ん?携帯…」

ふいに、俺の携帯がふるえた。

…電話だ。
また"瞬"だろうか。



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