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桜葉学園
18


「よーし、今からテストを返すぞ!覚悟はいいか!」

教壇に立っているのは熱血教師、担任の佐武先生。今回のテストは全て担任から返されるらしい。

「先生カッコいい!」
「…紙が燃えますよ?」
「つーか、燃やしてくださいテスト用紙」
「やべぇよ、どうしよう」

先生にみとれてる奴から焦っている奴、いろんな奴らがいる。

…数学が、な。
できれば、返却なんてしてほしくないんだけど。

「出席番号順に取りに来ーい!」

先生が叫ぶ。
それと同時に一番の人が立ち上がり、教壇まで歩いていった。今まで騒がしかった教室が一瞬で静かになる。

「お前は社会が悪い。もっと頑張れ!そうすれば上位も間違いないぞぉ!!」

…先生、いちいちコメントするのかよ。

桜葉学園は特殊で、年に4回しかテストがない。
毎回その成績によってクラス分けがされる。
博に聞いたところ、よっぽどのことがない限り大丈夫みたいだが不安だ。

次々とテストが返される中、博の番になった。

「ま、いつも通りだな。…上がればいいのに」

佐武先生に何か小声で言われている。

「博どうだった?」

「ほぼ満点。でもクラスはそのまま」

「…は?」

クラスはそのままって。
ほぼ満点なのに、ありえない。

俺が頭に疑問符を浮かべていると、博はおかしそうに笑った。

「だってA組は特別授業があったりして面倒だからね」

「…クラス分けって拒否権ある?」

「ないよ」

…と言うことは、博はクラス上がるだろ?
確かにA組はエリートクラスだから面倒だろうけど。

…ん?まてよ。
佐武先生は小声で上がればいいのにって言っていた。

「もしかして…」

生徒会役員だから?
博が言っていたが、生徒会になったのは会長からの命令だったからだそうだ。
【黒龍】メンバーだから。

…博は人気者のランキングで入ったわけじゃない。だから、生徒には知られていない。

でも、もし先生達が知っているとしたら。

「特権ってやつか」

「正解」

佐武先生は博が生徒会なのを知っているんだ。

「ずるいー」

生徒会の特権って何だよ。優遇されすぎ。何でも許されるのかよ。

「時田ー!」

「っ、はい!」

博と話している間に俺の番になっていたようだ。

「数学だなー!点数 まで赤く燃えたら駄目だろ。ま、次頑張れ!」

「げ…」

成績一覧を見てみると、数学は赤点だった。
あんなにやったのに。

…他の教科は悪くはなかったから、クラス落ちは免れた。

「…最悪」

俺は席に戻るなり溜め息をついた。



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