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桜葉学園
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「…失礼します」

「あ、2人とも来たね。座って」

生徒会室。
手間のソファーには瑛先輩と稔先輩、真ん中の奥に会長が座っていた。

「はじめまして!有馬 稔でーす」

実は、稔先輩とこうやって対面するのは初めてだったりする。

「ゆーちゃんは噂通りに美人だね〜」

ゆーちゃん?

「稔はあだ名を付けるのが趣味なんだよ」

首を傾げていると、瑛先輩が説明してくれた。

「趣味ってわけじゃないよー。えっと…」

稔先輩は和を見る。
その瞬間、嬉しそうに目をキラキラさせながら口を開いた。

「たか!」

「「はっ!?」」

いきなり叫んだ稔先輩に驚く。たか、って。
和は名字が高木だからあだ名のつもりでいったんだろうけれど、心臓に悪い。

和が"鷹"だと、バレてしまったのかと思った。

「どうしたのー?」

「い、いや何も」

和は、冷や汗をかきながら首を横にふる。
稔先輩の後ろで瑛先輩が笑いを堪えているのがわかった。

たぶん、俺達が焦っているのをみて楽しんでいるんだろう。

「おい、夕翔」

ふいに、会長から声がかけられ肩が上がる。

「…っ、な、なに?」

胸がどくんと鳴ったのを気がつかないふりをして、俺は会長の方に振り返った。

「こっちにこい」

会長は頬杖をつきながら、ペンを走らせていた。
ちゃんと仕事をしているなんて珍しい。

「前やっただろ、判子」

「また押すのかよ」

判子を押すくらいならいいかと、俺は会長の方に向かった。今回は、結構たくさんあるみたいだ。

「…じゃあ、和君も手伝って。これなんだけど」

俺達が仕事を開始したのを合図に、瑛先輩が和に指示する。
稔先輩は歌を歌いながらプリントを整理し始めた。

「これ、何の資料?」

「…夏休みに寮に残る人の申請書。どのくらいいるか把握するらしい」

会長の話では、寮に残るにはそれなりの理由が必要で確認しているらしい。承諾したものに俺が判子を押すみたいだ。

でも、それって生徒会の仕事なのかな。こういうものは、学園がやるべきじゃないか?

「…理事長に頼まれたんだよ」

「…あー、そっか」

俺の言いたいことがわかったのか、会長が教えてくれた。
桜葉さんに頼まれたら、断れないからな。
もしかしたら、俺達を迎えにくるついでに頼んでいたのかもしれない。

…桜葉さん、生徒会に仕事を押し付けたな。

結局、こうやって生徒会に呼び出しをくらったのは桜葉さんが原因みたいだ。

俺は、一度溜め息をはいてから仕事に取りかかった。




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あきゅろす。
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