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桜葉学園
12 迎え


「楽しかったーっ」

和がそう言って伸びをする。

あれから、日が暮れるまで溜まり場にいた。今日は日曜日のため、学園に帰らないといけない。
本当はもう少し居たかったが、仕方なくみんなと別れた。

「帰ってきた…」

バスが桜葉学園の門につく。俺達はバスを降りた。

「楽しんできたか」

「「桜葉さん!?」」

驚いたことに、門の前には桜葉さんが立っていた。桜葉さんは、俺達をみて口元を上げる。

「ここから歩くのも大変だろ。お前らを迎えにきてやった」

「まじ?」

門から寮までが遠い。
それは初めてこの学園に来た時に十分味わった。
普通は、外出する生徒のために門番の人が送り迎えをしてくれるらしい。

わざわざ桜葉さんが来たのは、俺がメールしたからだ。

そのメールを見た桜葉さんは俺達のために車で迎えにきてくれた。

仕事があるから、本当に来てくれると思っていなかったけれど。

「ありがとう!」

和は余程嬉しかったんだろう。ニコリと笑って、はしゃいでいた。

「ちょうど仕事も一段落ついたからな。2人の顔も見たかったし。ほら、乗れ」

「優しーっ」

俺達は、車の後部席に座る。それを確認した桜葉さんも乗り込み、発車した。

「…なぁ、桜葉さん。何で俺達を入学させたんだ?」

俺は後ろから桜葉さんに質問する。

ずっと気になってたこと。

「…さぁな」

「は?」

「俺の願いだからだ」

「願、い…」

俺と和の頭に疑問符が浮かぶ。

願いって何のことだ?

そんな俺達に桜葉さんは苦笑した。

「わかんねぇだろうな。今は」

「今は…って教えろよ」

俺は後ろから身を乗り出す。

桜葉さんの願いってなんだよ。気になるだろ。

「俺達をこの学園に入れたかったっていう願い?」

「それもあるが…別だ」

「どういうことだよ。まさか……チームに関係してんのか!?」

「夕翔、落ち着け」

落ち着いてられるわけがない。そもそも、この学園には桜葉さんの誘いで入った。
その時から、【黒龍】がいることを知っていたはずだ。なのに、俺達を入学させた。

…絶対何かあるはず。

「何考えてるんだよ」

「…そのうち、わかるだろう」

「………くそ」

教えてくれないらしい。
俺はドカッと後ろの席に座り直した。

「おい、俺に向かって糞はないだろ」

尊敬してる人に対して悪い発言をしたことは自覚している。

「…教えてくれないからだろ」

「まぁまぁ、仕方ないよ」

和は、不機嫌な俺を慰めようとした。

「だってさ…」

「ほら着いたぞ」

桜葉さんの一言で、窓をみる。寮の前に着いていた。

「ありがとうございました!」

和は礼を言って車から降りた。俺もその後に続く。

「ほら行こっ」

「ちょ、まてよ」

和に引っ張られる。
まだ桜葉さんとの話は終わってないのに。

結局、何も分からないまま俺達は寮部屋に帰った。



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