[携帯モード] [URL送信]

桜葉学園
11


「このやろっ!」

「いッ…てぇ」

ざまあみろ。

ハヤセは横腹を押さえてうずくまっていた。
俺が肘で殴ったからだ。
その間に、ハヤセが手に持っているチョコレートを奪う。

「ん、うまい!」

やっと手には入ったチョコレートを口に入れた。

俺、チョコ好きなんだよな。

「…いってぇな」

ハヤセは、まだ腹を押さえている。そんなに力強く殴ったつもりはなかったんだけど。

「ハヤセが悪いー」

「少しは手加減しろよ。チビでも力は強いんだから」

「っ、この白髪!」

「白髪じゃねぇ!!」

銀のメッシュなんて白と同じだろ。

そう呟くと、ハヤセが拳を俺に向けてきた。

「…まぁまぁ、2人とも落ち着こうよっ」

「和!」

…ハヤセの拳は俺に届かなかった。

和が、うまいタイミングで俺とハヤセの間に入ってきたのだ。ハヤセの手は和によって止められていた。

「…"鷹"」

俺は溜め息をついて、そのまま座り込んだ。

ハヤセはいつも俺をからかう。一応、俺は総長なのに。

総長って言ったら、みんなから尊敬される存在だよな…。俺はどうなんだろう。

少なくともハヤセには、尊敬なんてされていないと思う。

「ハヤセ」

「あー…ごめん」

セイに促され、ハヤセは俺に一言謝った。

「…別に。俺も殴っちゃったし」

そう言って、チョコレートを1つあげた。

「ったく、お前がすぐ怒るから、からかいたくなるんだろ」

「おい」

何か文句あんのかよ。
チョコレートやらないぞ。

ハヤセを睨むとチョコレートを食べながらニヤリと笑われた。

「総長、これ僕のオススメ〜」

コウは俺にお菓子をさしだす。オレンジ色のクッキーだった。

「あ、それ美味しいよね」

「"鷹"も食べたことあるの?」

「あるよ。学園に売ってた!」

え、売ってたっけ。
俺はコウがくれたお菓子をみる。

…記憶にない。
味はオレンジかな?

「ハヤセ。これ食べたことある?」

味が気になった俺は、隣に座ったハヤセに尋ねた。

「…ある。うまい。けど高いからな」

「へぇー」

そんなにうまいのか。
桜葉学園に売っているのなら、高いことは想像がつく。

「…で、和はいつ食べたんだよ」

気になった俺は小声で聞いた。俺と和はほとんど一緒にいるのに、和はこのクッキーを食べたことがあるなんて。

「…煉と生徒会室に連れていかれた時」

「…あの時か」

確かに生徒会室のテーブルにはお菓子があったな。

俺はその時の光景を思い出しながらクッキーを口に入れた。




[*前へ][次へ#]

11/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!