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桜葉学園
10


「えーっ、意外!」

取りあえず名前を言うと、第一声がコウのこれ。

「意外?」

「てっきり、通り名が名前だと思ってた」

…通り名が名前なわけないだろ。"翼"なんて名前、そこらへんにいるかもしれないけどさ。

「コウの名前はー?」

「こいつ、読み方かえただけだぞ」

和が質問すると、ハヤセがつまらなそうに答えた。

「うーん、そうなんだよね。光だよ!」

ひかる、か。
コウらしい名前だ。

「ちなみに俺は隼人」

「隼人かぁ」

「おう。…うまっ」

ハヤセは机にあるお菓子を食べ始めた。

当たり前だけど、通り名と違い、あだ名は名前からきているみたいだ。

「……聖也」

今まで黙っていたセイは、独り言のように呟いた。

「聖也なんだー!」

「………」

「あれ、セイ。おーい?」

和が話しかけるがセイは無視。ゲームを再開したらしい。

夢中になると、話を聞かなくなるんだよな。

「"瞬"は?」

「さぁ、"翼"があててみなよ」

俺が質問すると、逆に聞き返された。

"瞬"は通り名だからもっと別の名前かな。

「…俺はそのまま」

「えっ」

「漢字が違うだけ。"瞬"じゃなくて淳。通り名と同じなんだよ」

本名と同じ!?

通り名は、他人がつけた名前だ。だから、本名と一致する可能性は低いはずなのに。

「へぇーっ、偶然だよね!?スゴいなぁ」

和は驚きの声を発した。

本当にすごい確率だ。
通り名の"瞬"は、情報を得るのが上手いことからつけられた。

短時間で情報を得る。
それが"瞬"だ。

「みんな自己紹介も終わったし、お菓子でも食べようよ!」

コウは机を指差しながら言った。すでにハヤセが食べているがそこは気にしたら駄目だ。

「俺チョコ食べるっ!」

「クッキーちょうだい!」

俺と和はすぐに反応し、近くにいるハヤセに頼んだ。

「はい、"鷹"」

「ありがとー!」

「はっ!?俺には…」

ハヤセは和にだけクッキーをあげ、俺を無視した。

…この野郎。

強く睨みつけてやると、ニヤリと笑われた。

「ったく」

仕方がないので、自分でチョコレートをとろうと腕を伸ばす。

「………おい」

チョコレートの袋は高く持ち上げられてしまった。勿論、ハヤセの手によって。

「なんだよ!」

何がしたいんだ、コイツは!

ハヤセは俺よりも背が高いため、座った状態では届かない。

「とってみろ」

「〜ッ!!」

本当、意地悪な奴!



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