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桜葉学園
01 きっかけ


俺達がチームに入ったのは、中学1年生の時。
きっかけなんて、たいしたことじゃない。

前総長への憧れ。

ただそれだけだった。


「久しぶりだな…」

「うん」


今、俺と和はバスの中。
テストが終わり、桜葉さんに事情を話して外出許可をもらった。
これから、チームの溜まり場へ行くことになったのだ。


学園に入学してから外出したことがなかったため、目に映る風景がとても懐かしく感じる。

「琢磨さんに会いたいな…」

「……夕翔」

前総長。
家が近所で、昔よく遊んでもらった人。
兄貴的な存在。

2年前にチームから離れた。

今は普通の大学生のはずだ。
大学はどこか、わからない。一人暮らしをしているらしいがどこに住んでいるのかも不明だ。


『コイツに総長の座をゆずる』

それだけを伝えて行ってしまった。

…幹部でもなかった俺に、だ。

当時、幹部だった人達のほとんどが前総長と一緒にチームを抜けてしまった。

理由は、大学生や社会人になるから。

それは仕方のないことだった。チームは俺達に任されたのだ。


「最初は大変だったなー」

「そうそう。まず幹部決めに喧嘩してさ」

「仕方ないから、勝った人から順番に決めたんだよな」

幹部ではなかったといっても、俺達は強かったんだと思う。

だから、琢磨さんは俺達にチームを任せてくれた。

「まぁ、結局予想通りの人達が幹部になったんだけど」

俺達と同時期にチームに入った奴らが幹部になったんだよな。

「そこからフードかぶりだしてー…」

「…やっぱり、一番の喧嘩は【黒龍】との喧嘩だな」

前総長と前幹部のおかげで、俺達の存在は敵チームに知られていなかった。

それを利用してフードをがぶり、正体がわからないようにしたんだ。


「みんな、どうしてるのかな…」

「さぁ…」

バスが目的地につく。

溜まり場には、歩いて10分ほどで着くだろう。

「よし、いきますか!」

「おうっ!」

俺達は、念のためにフードをがぶりバスを降りた。





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