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もっとぐちゃぐちゃになりたかった


どうして、どうして。と問い続けた。

あんなにも慕ってくれてたじゃないか。
あんなにも傍に居てくれてたじゃないか。
あんなにも幸せそうだったじゃないか。

どうして、どうして。
俺をひとりにする。
なんで、おまえまで、なんで。

次々と浮かぶ疑問符。
空は俺に便乗したのか泣いていた。

「どうしても、なんだよ…」

アルが苦痛に耐えるような顔で小さく呟いた。

どうして、どうして。
おまえにそんな顔して欲しくないのに。
なんで泣きそうなんだよ。
泣くぐらいなら俺から離れないでくれよ。

「…それは駄目なんだよ、アーサー。俺は君から離れなきゃならない」

どうして、どうして。
だって、そんな筈ない。
ずっと一緒に居ればいいだろ。
なんで離れてくんだよ、お願いだから置いてくなよ。

もう、ひとりは、いや、なんだよ。


「ごめん、アーサー、ごめん…」


あぁ、それならなんで。
どうして、どうして。
おまえは未だ優しいんだ。
俺を捨てるのに。
傷の少ない自分の手のひらを見、涙を零した。
アルの撃つ気配がみられないマスケットを見、涙を零した。

俺から離れてくなら。
どうして、どうして。


「もっと、ぐちゃぐちゃにしてくれなかったんだよ……」




(おまえを忘れる程、)

(ぐちゃぐちゃにしてくれたら良かったのに)







end!
独立戦争のときのお話。



title→
彗星03号は落下した


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