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孤独の闇に怯え、今宵も彼は涙を流す


息苦しいぐらいの闇がその場所には在った。
その場所を俺は遠い昔に知ってる。
彼と出会う前、俺が居た場所だ。
この場所の名は孤独。
独立し自由になった今、何故俺は此処に居る?

「、アル…」

小さな小さな声が俺を呼んだ気がした。
この声を俺が聞き間違えるわけがない。

「アーサー?」

愛しい彼の名を呼ぶと先程まで漆黒しかなかった場所に、ぽつりと膝を抱えた金髪の青年が現れた。

「うぅ、アル…。アルゥ…」
「…また泣いてるのかい?」

俺の声に反応を示すことはなく、ただ彼は泣きながら俺の名を呼び続けた。

この場所の名は孤独。

ひとりきり、さびしいこのばしょで、なぜ、かれは、なみだをこぼす?

「アーサー…、寂しいのかい?」
「…寂しい、あいつが居なくなって俺はひとりだ……」

漸く顔をあげ、こちらを見たアーサーの目は泣きはらして真っ赤になっていた。

アーサー。
違うんだ。
君はひとりじゃないんだよ。
俺は君を守る為に独立したんだ。
俺の心は君といつも居るんだ。

それが、どうしても君には伝わらない。




目が覚めると其処はいつもの自分のベッドの上だった。
時刻は夜更け。

(彼はまた孤独に怯え泣いてるのだろうか…)

誰が彼を抱き締める?
誰が彼の涙を拭う?
誰が彼を愛してる?

「俺だぞ」

彼が怯えるのなら抱き締めてあげよう。
彼が涙を零すなら拭ってあげよう。
俺は彼を愛してるのだから。

そうして、俺は自宅を出て海の向こうの彼の元へと急いだ。





(愛してる、だから泣かないで)






end!
栄誉ある孤立なんて淋しいですよ、やっぱり…。メリカが居なくなって表面では普通にしてるけど、内側は孤独に泣いてるイギを思うと泣けます。



あきゅろす。
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