MARIA 2 「買い物」 「……買い物…?この時間に?こんな場所で?」 俺が怪訝そうな顔で凌を見つめていたら、 「……ウルサイ」 と、バツが悪そうに素早く視線を逸らして凌は俺の前を歩き出した。 「あっ、待ってよ!」 だから俺はその場から立ち上がって、凌の後を着いて歩いて行く。 もしかしなくても……迎えに来てくれたんだろうか。 そう考えると少し嬉しくて、口許が緩むのを抑えられなかった。 「……帰るのか?バイクでいい?」 「いい」 コクンと小さく頷く。凌が俺に背を向け歩こうとした時、俺は凌の手を掴んでしっかりと握った。 「――――葵……?」 いつもならしない俺の意外な行動に、不思議そうな顔をしながらこちらを向いて凌が俺の名前を呼ぶ。 「早く、行こ」 凌の手を握り締めながら短く伝えると、凌はそれ以上追求せずに足を一歩踏み出した。 [*BACK][NEXT#] [戻る] |