MARIA 15 「ごめっ……」 謝って離れようとした瞬間、敬史の腕に更に引き寄せられた。 「……?敬史?」 俺が話し掛けても、敬史は何も喋らない。どうしたんだろう?とは思ったけど、敬史が言わないなら俺も何も言えない。 敬史……。俺に甘えてくれてんのかな?そう思うと、ちょっとだけ嬉しくなった。 普段の敬史は俺に弱い部分を見せたりしないから。俺でも少しは……敬史の役に立ててるんだろうか? 「――――授業」 「え?」 突然、敬史が口を開いた。 「もう、始まってるな……」 「あ……うん、そうだな…」 敬史に言われて、俺は壁に掛けられている時計を横目で眺めた。授業開始時間からはすでに三十分以上経過している。 そこで改めて、そんなに時間が経っていたんだと気が付いた。 「葵」 「ん……?」 「好きだ……って、言ってもいい?」 「今更何言ってんの?好きじゃなきゃ、友達してないっての」 そう言い切った俺に、敬史が苦笑した。 「……そっか」 「そう。……変な敬史。――――俺も好きだぜ」 すると明ら様にびっくりした敬史の瞳とバッチリ目が合う。 「俺、敬史のこと、凄ぇ好き」 敬史は俺の最高の友達。 ずっとずっと一緒にいたい、親友――――…。 [*BACK][NEXT#] [戻る] |