MARIA 4 「そんなことより朝食、食べるだろ?早く着替えて下りてこい」 そう言って俺の頭を軽く撫でてから、凌は部屋を出て行った。 俺が急いで制服に着替えてキッチンに行くと、すでに朝食の準備がしてあった。 凌はいつもの決まった席で、パンを食べていた。俺も自分の席に座り、専用のカップを持って牛乳を注ぎ一口飲む。 ……いつもの、朝食風景。 時折、テレビを見て笑い合っている俺達。 いつも通りの凌。 昨日までは腰の痛みと、微妙な気怠さで感覚が麻痺していた。だから……まともな頭で、凌と面と向かって話すのは不思議な感覚で。 意識している俺が……オカシイのか。 「――――葵」 不意に凌に名前を呼ばれた瞬間、ドキンと鼓動が鳴った気がした。 「な……何?」 「明日、暇?」 「明日……?別に暇だけど?」 「じゃ、どっか行こうぜ」 「……凌と?二人で??」 「二人。――――嫌……?」 「いやっ、嫌じゃない……けど」 凌と二人で出掛けるのって、それこそ小学校以来じゃないか……? 「つーか、葵。そろそろ支度して、行かねェといけねんじゃねェ?」 「……え?」 テレビに表示されている時間を見ると、いつの間にか七時三十分を過ぎた所だった。 [*BACK][NEXT#] [戻る] |