MARIA 12 翌日。そして更に次の日も、葵は学校を休でいた。 『ダルイ』の一点張りで、結局俺には何も言わなかったけど……。多分、俺と身体を繋げたせいだということは、明白だった。 布団の中から出ようとしない葵が心配で、 「俺も休む」 と言ったら、 「お前は行け。行かなきゃ、絶交だ」 と言われてしまったので、俺は仕方なく今学校にいる。 「何、考え込んでるの?」 「……イロイロ」 昼休みになって、教室に遊びに来ていた千夏が俺の顔を至近距離で覗き込んできた。 俺は千夏の顔をジッと見つめたまま、口を開いた。 「今日も吉野先輩一人で登校してたけど、葵ちゃんは休み?」 「あー……。身体がまだ本調子じゃねェみてェだから」 「で、どうして凌がここにいる訳?」 「……行けって言われたから」 「凌は葵ちゃんに本当に弱いよね」 千夏の言っていることは当たっているだけに何も言い返せない。 眉間に皺を寄せる俺を尻目に、千夏はくすくすと楽しそうに笑っていた。 「怒ると怖いからな……葵は」 俺が反論出来たのは、千夏が笑い終わってから。 「怒られたの?」 「絶交って、言われた」 「絶交?それで凌、言うこと聞いて学校へ来たの?」 「……悪ィ?」 「悪くはないけど……」 言いかけたと思ったら、千夏は再び声を上げて笑い始めた。 「――――何だよ」 「あはは……あー、いや…。凌、可愛いなってさ」 「殺すぞ、お前」 「ハイハイ。……っつか、凌をそこまで従順にさせることが出来る人間って、きっとこの世界中で葵ちゃんだけだね」 「……当たり前だろ」 今更隠す気もなかったので即答する。 だからか……笑っていた千夏の顔が、一瞬曇った気がした。 でも、すぐにいつもの明るい千夏に戻って、 「凌に愛されてる葵ちゃんが凄く羨ましい」 と言った。 [*BACK][NEXT#] [戻る] |