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MARIA
3

そして、当然のように凌は合格した。


その時、凌は生活指導の林先生に新入生の式辞を述べてくれと頼まれたと言っていた。


式辞のことを聞いて、俺は更に大きな溜息をついた。
きっと入学式で目立ってしまうんだろうな……。
だって、凌だから。


―――中学の時から、凌は学校の誰よりも目立っていた。


俺と凌が兄弟だと言うと、皆が皆、信じられないという顔をした。……勿論、面と向かって言われたこともあったけど。

「二人共、全然似てないよね」

クラスの女子はそう言いながらも俺達二人のツーショットを良く撮りたがった。一度、その訳を仲のいい女子に聞くと、

「だって二人共、ジャニーズみたいなんだもん」

とか言われた。


ジャニーズって、アレか?
アイドルの……。

「それにね、葵と一緒に登校してくる時だけね、凌君って凄く蕩けそうな位の笑顔で笑ってるんだよ?お兄ちゃん冥利に尽きるね、葵」

とも言われたけど、お兄ちゃん冥利というより……俺の神経を無意識に逆撫でしまくるんだよな、凌は。


確かに凌が中学に入った頃は一緒に登校していたけど、彼女達が言うように俺達が二人で学校へ行くとウザったい位、周囲がうるさかった。


だから俺はいつしか凌を置いて一人で先に学校へ行くようになっていた。


凌は低血圧だから、自分からは絶対に起きないし。


凌は、

「何で先に行くんだよ」

って、他人が近くにいたら絶対に見せないような顔をして明ら様に俺を怒っていたけど。


何でも比べられる俺の立場にもなってくれ……と、不謹慎にもそんなことを度々思った。


凌は俺の自慢の弟であると同時に、一番、素の俺を見せられない相手でもあった……。

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