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MARIA
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「学校、近いし」

まるで他人事のようにシレッと言ってのけた凌に対して、母さんは激怒していた。

「凌!あなた、よく考えてみなさい!確かにお兄ちゃんは妥当な進学を選んだと思うわ。でも、あなたは違うでしょ?!」

「何で俺だけ、わざわざ遠い学校行かねぇといけない訳?……面倒臭い」

「あなた、この間の全国模試何位だったと思ってるの?一位だったのよ?全国で!」

「別に関係ないだろ」

「凌!!」

その日、母さんの制止を無視して凌は気怠そうに部屋に戻って行ってしまった。


それから、凌は両親・学校側が止めろというのも完全に無視して本当に昂形高校を受験した。


基本的に面倒臭がりな凌だから、三ヶ月間も周囲に止めろと言われ続けたら反対されるのに疲れて昂形は受験しないだろうと思っていた俺の思惑は、見事に裏切られてしまった。


そして当たり前のように凌は滑り止めなんて受けなかった。


凌が「滑り止めは受けない」と宣言した時、誰も、もしものことがあるからなんて言わなかった。


だって、凌なら風邪をひいて高熱を出してたとしても絶対受かるって、皆思っていたと思うから。


……俺が昂形高校を受験した時は、絶対に滑り止めは受けとけ、だったのに。


ま、凌と俺の出来の違いなんてのは今更なんだけど。

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