MARIA
10
二人で無言のまま学校を出た。
俺と吉野が一緒にいるのを初めて見ただろう生徒達の視線が集まるのが分かった。
吉野も慣れているみたいで何事もないように歩く。ここに葵がいたら、きっと『視線が痛い!』とか言って大騒ぎしているだろう。
葵がいなくても自然に葵のことを考えてしまう。
そんなことは気持ちを自覚した時から気付いていたが、いざそう言う状況に陥っても俺の頭の中を支配するのは葵だけ。
葵――――。
早く会いたい。
こんなに苦しくてこんなに求めても、葵は俺を思い出してくれないの?
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