MARIA
7
その次の日になっても、二人は現れない。だから余計、確信した。
葵は吉野の家にいる……。
オートロックじゃなければ、ドアをこじ開けてでも葵を奪いに行くのに。
下手をすれば、後数日で夏休みだ。夏休みを合わせると一ヶ月以上、葵と話せない、会えないことになる。
――――その間に、この気持ちを忘れろ、と?
スカイラインの男の時も感じた無力感。
――――俺ハ何モ出来ナイ
受け入れがたくても、突き付けられる現実。
こんなに会いたくて、
こんなにキスしたくて、
こんなに抱き締めたくて堪らないのに。
なのに、どうして傍にいないのか。
「苦しい……」
苦しいよ、葵。
このまま葵への想いを忘れていくなんて、きっと無理だ。
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