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MARIA
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――――吉野 敬史――――。


まぁ、葵の数多く存在する友達関係を全て把握している訳ではないが、気になる奴には目を懲らして威嚇してきたつもりだ。


友達、葵のことを好きな奴等。それは男なら睨みをきかせることだったり、女なら葵への興味を自分に向かうように仕向けたり。


大概、女は上手くいく。必要以上に話し掛けてやると、それだけでいつの間にか好意をもってくれるから。


中学の時、葵が初めての彼女だと言って家に連れてきたことがあった。その頃には葵への気持ちを恋だと自覚していた俺には衝撃的で、物凄く嫉妬したことを覚えている。


たかが『女』と言うだけで葵の彼女の座を射止めたソイツが許せなかった。


だから――――抱いた。
そしたら女は簡単に俺に堕ちて、葵を捨てた。
俺がこの世の中で一番欲して、一番手に入らない葵を。いとも簡単に、たやすく。


葵と別れればそれでいい。

一週間も経たない内に、俺は女を捨てた。――――女が葵を捨てたように。


その後は俺が見ていた限り、葵は彼女を作らなかった。いや……作れなかった、のか。その出来事があってから、葵は少し恋に臆病になっている節がありありと見て取れた。


……でも、一番厄介なのは男だ。葵は特に、男にモテる。下手をすれば女よりモテてて、タチが悪い。俺が抱けばどうにかなる女と違って面倒だし。そもそも男は葵以外、抱きたくない。


ま、葵に言い寄る男はどちかと言えば俺と同じで葵を組み敷きたい奴が多いから、必要あらば喧嘩をして手を出すなと釘をさす。


おかげで、喧嘩は滅法強くなったが。

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