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MARIA
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季節が移り変わる―――四月。


俺、三笠 葵(ミカサ アオイ)の周囲も著しく変化した月。


弟の三笠 凌(ミカサ リョウ)が俺の通っている都立・昂形(コウギョウ)高校に入学してきた。


凌が昂形を受験することを初めて知ったのは、最終受験校を決める十二月だった。


当然のように両親は猛烈に反対した。昂形は家から徒歩十分という、交通には一番都合のいい場所にあった。


だけど、それだけ。
偏差値五十たらずの昂形は、凌が行くような高校じゃなかった。


だから、俺と凌の高校が一緒になることは絶対ないと思っていたので、正直驚きを隠せなかった。
そして同時に、俺はとても複雑な心境だった。


何でも平均的な俺と違い、勉強もスポーツも何でもこなしてしまう凌。


顔立ちだって母さん似でどちらかと言えば可愛い部類に振り分けられてしまう俺とは対象的に、凌は父さんに似ていて兄の目から見ても十分格好いい。


スタイルだって長身の割には細身だけど必要な場所に筋肉はちゃんとついてるし……。


凌は羨ましいくらい、俺が望む全ての魅力を兼ね備えていた。


昔は同じ位だった身長も、今じゃすっかり凌に抜かされてるしな……俺。


凌のことは、嫌いじゃない。でも、凌は俺の兄としてのプライドをズタズタに切り裂くから、少しだけ……苦手だった。

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