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恋の味(跡リョ)



「おい、越前」

「なに」



広い部屋の豪華なソファに座る生意気な恋人が顔も上げず返事をした



「なに飲んでんだ」

「ファンタ」




相も変わらず顔を上げない

どうやら今日は生憎の雨でテニスコートはぐちゃぐちゃ
折角テニスをしに俺ん家に泊まったのに一回も打てなかった事に拗ねているらしい




ふうと息を吐き、越前の横に座る




「ガキが」
「なっ、誰が!」


やっと顔を上げた

けど目が合った途端にまた逸らす



そういうのがガキだって




「またやりにくればいいじゃねえか」
「…今日やりたかった」
「雨にケチは付けらんねーだろうが」

「だってさ、アンタと一緒に打てるのはそうそうないし」

「じゃあ晴れた日にまた来い。何時だろうが打ってやるから」

「何時来たって打ってくれるの?」

「あぁ」



ふーんわかった、と可愛げのない返事をしつつも機嫌は直ったらしい



「ま、いっか。今日はアンタのテニスじゃなくてアンタを満喫させてもらうし」



唖然としていると、にやりと笑った越前がこっちをみた



「上等じゃねえか。アーン?」




一丁前に誘う生意気な一年に今日は乗ってやるかとそのさらさらとした黒髪に触れた



からんと落ちた缶からはしゅわしゅわと泡が甘酸っぱい音を立てる




「アンタ、甘い匂いがする」
「テメェもな」


薄く笑ったその唇を奪うと甘い、味がした





恋の味
(苦くて、甘い)









拍手でした^^

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あきゅろす。
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