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空が笑えば海も笑って



(ブン赤)




一週間、期限はそんだけ




確か始まりは些細なことで、気にもとめなかったことかもしれない

だけど異変に気づけば手遅れ


おかしい。って自覚はある
親みたいに、友達みたいに、漫画みたいに俺は可愛い女の子を好きになって一緒に笑ってキスして結婚する
普通に考えてそう

だけど性別は一緒の好きになっちゃいけない相手を好きになった

不思議な気分。行き場のない想い

後輩で、可愛くて好きで好きでたまらない


どうせ残り僅かの夏だから残される後輩に好きを言葉にした


「丸井先輩…も…?」

答えは予想外
俺らは両想いだったわけ


けど、



だからって許されることじゃないし


期限は一週間、


俺たちは恋人になった



例えばデートして例えばキスして例えば一つになってみたり
もう一生言わないんじゃないかってぐらい好きを繰り返した
赤也も笑っては泣いて、喜んでは嗚咽して一週間、168時間を2人で側に居続けた

何も構わない。部活も家も知らない


あるのは2人だけの時間


「ねえお願い、俺の一生分愛してよ。もう先輩以外愛せないぐらい。先輩が好きだから」





一週間、それは俺の人生の全てに相当した

きっと、もうこんな気持ちは生まれない

夜が明けたらもうこの感情は消えてなくなる
思い出しちゃいけない
そうして俺たちはまたくだらないことに騒ぐ仲の良い先輩後輩に戻る


「愛してた。赤也を愛して愛して…嘘みたいに好きだ」
「俺もっス。ただ愛してる」


ちかり、眩しさを覚え目を細める

海岸沿いのここからは青は溶けて朝日の黄色に混ざっては輝く

この中に全部溶けてしまえばいい
気持ちも愛も





もう二度と紡げない言葉の代わりに俺たちは笑った



あぁ、と
俺たちはもう溶けちゃったんだと
気持ちとか愛とか理性とかモラルとか全部全部混ぜ合わさって溶けて、切原赤也も丸井ブン太も同じものになったんだと


だから、笑った



交わす言葉は全てこの空と海が飲み込んでいく音になった






E N D



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