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佐助はすっかり寝込んでしまって、三日間は死んだように眠っていた


その間幸村はまず今回の張本人である武将を打ち取り、そして佐助の看病を続けた

実質的な事は一武将でしかない幸村には到底無理な話だったが、才蔵らに手助けされて看病をした

本来毒に慣らされてる佐助の体をも蝕んだ毒はまた改良を重ね、佐助たち忍には効かなくなるのだろうとぼんやり才蔵の話から読み取った

佐助は4日目で意識が戻って5日目ではうごけるようになった

そして7日目には台所に立っていた


「さすけぇぇぇぇ!」
「うわっなによ旦那」

粥を煮る佐助の手から杓文字を引ったくり幸村は強引にかき混ぜた

「佐助は休まなくては駄目なのだ」
「もう動けるし、それに体なまっちゃうよ」

だいたい旦那は粥こぼしすぎ、と笑った

「しかし…毒はもう平気なのか?」
「ほらこの通りピンピンしてるって」

それでも血の足りないうっすら青い顔色を見て幸村は佐助の体を持ち上げる

「ぎゃっ何すんのさ!」
「言ってもどうせ聞かぬのだろう?」

だからっていきなり、と照れたような複雑な気持ちで手渡された茶碗を持った



正直もう寝飽きた布団を見つめ、粥を啜った

幸村はあの毒については詳しい事は触れてこなかった
だから佐助も何もいわない


「…苦しいのだ」
ぽつり、幸村はそう呟いた

抱きしめるように接吻をされ、粥は弧を描き畳に零れた

ぼんやりと粥を心配しつつ、頭をよぎる答えを持て余した

もうこれが何なのか解っている
きっと一生言葉にはしないであろう其れを二人で共有している

それが、満足なのだ


ぎりり、畳が軋んだ


end




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