【銀魂】侍道
2話
土「おい、総悟。俺は見て来いとは言ったが連れて来いって言った覚えはねぇぞ。」
沖「廃刀令に背いた違反者だったんで」
頭を抱えいう土方とは裏腹に落ち着いた口調で話す沖田。
?「…いや、それならあのチンピラどももそうだろ。なんで俺だけ」
沖「あんたが抵抗するからチンピラどもに逃げられたんでィ」
?「ふつうするだろ。いきなり手錠かけられれば。」
お前のせいだとでもいうような話しぶりに商人もさすがにイラつく。
沖「まぁいいや。あんた名前は?」
貴「一之瀬 修弥」
人の話を聞こうともしない沖田の態度にイラつく反面何を言っても無駄だと思った。
土「なんでまたこんな刀を持ってたんだ。」
貴「それは護身用だよ。道中にああいったチンピラは少なくないからな。持ってるだけでも効果はあるんだよ。この町は例外だけどな」
とにかく早く解放してほしい修弥は淡々と説明する。
沖「護身用にしちゃ使い慣れてやしたねィ」
貴「そりゃ今日みたいに使わなきゃなんねぇ時だってあるんだよ。かれこれ10年くらい商人やってんだ慣れてくるだろ。」
なぜか問い詰めてくる沖田たちに戸惑いながらも質問に答える。
土「お前商人とは思えねぇくらいいい手してんな。」
貴「……何が言いたい…?」
鋭い目と口調でそういった土方にたじろぐ。
土「剣術でも習ってんじゃねぇのか?」
貴「……習ってはねぇよ、独学だ。」
これ以上何を言ってもこの状況が悪化するだけだと踏んだ修弥は目をそらし言った。
貴「剣を学んでたのは護身用だ。これは事実だ、信じてくれ。」
机を挟んで反対側にいる沖田と土方に訴える。
沖「じゃああの時の殺気はなんでィ」
貴「あれはこっちがこんなとこまで仕事しに来てんのに公務員はのんきにサボりかって思ったら殺意がわいた」
土「てめぇのせいじゃねぇか!!」
サボっていた事実とこの事態の原因が沖田であることをしった土方は怒鳴るが沖田は何食わぬ顔でつづけた。
沖「ところであんた真選組に入りやせんか?」
それまでの騒々しさが嘘かのように静寂に包まれる室内。
土「お前何言ってんのぉぉぉぉぉ!?」
そんな静寂を切り裂く土方の突込み
沖「土方さんは知らねぇと思いやすがこいつの剣の腕は確かですぜィ、一番隊で引き取りまさァ」
貴「いや、俺の意見は?」
沖「実践で使えるかどうかはあれですがねィ」
修弥の突込みをかき消すように話を続ける沖田。
土「とは言ってもただの商人だぞ?」
沖「ただのじゃありやせん。剣の使える商人でさァ。それに人手不足だって嘆いてたじゃねぇですかィ」
土「ま、まぁ…そうだが。」
沖田の言葉に賛成しないが反対もできない現状にあることは確かだった。
貴「だから、あの俺のいけn…」
沖「じゃあ決定ですねィ」
当の本人そっちのけで話はグイグイ進みついに加入が決定してしまった。
加入が(勝手に)決定したとこでガチャと手錠を外した沖田。
沖「ついてきなせェ、近藤さんのところに行きやすぜ。」
そういうとさっさと歩き出してしまった沖田の背中を見ていた土方と修弥。
土「…ったく。…とりあえず行って来いよ。近藤さんが反対したら加入はできねぇが…まぁそんなことはありえねぇな。」
貴「…え、あぁ、わかった。」
ここで修弥は思った。あれ、ちょっと待てよ。俺入るなんて一言も言ってなくね?と。
近藤っていうのが誰なのかは知らないがそいつの許可の前に俺の意見聞くべきじゃね?とも思ったがこの状況でそんなこと言っても意味ないだろうしと考え沖田の歩いて行ったほうに駆けていく。
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近「おぉ!確かに腕っぷしは立ちそうな…いや、そうでもないか?」
貴(至極失礼な奴なんだけど、こいつ。上げてる途中で降り下ろしてきたんだけど、こいつ。)
近藤の言葉に心の中でツッコミという名の文句を言う。
沖「いやいや、確かに見た目はひょろひょろですがねィ、なかなかのやり手ですぜィ」
貴(お前に言われたくねぇよ、どう見てもお前のほうがひょろいだろ。てか、どっから目線だよ。)
品定めしてくる近藤と沖田に心の中で文句を言いながら話を聞く。
近「聞いたところ真選組に憧れてこの町に来たんだって?」
貴「んなわけねぇだろ。俺はこいつになんか知らないけど、目ぇつけられた一般市民だよ。警察になる気も商人辞める気もない。」
ここにきてやっと自分の意見を言えたがここまで期待されてた中、そんな気はないなんて言ってしまってよかっただろうか。などと根のやさしさが出てしまう修弥。
沖「……そんなにいやでしたかィ。すいやせん、無理矢理…近藤さん、すいやせん俺の早とちりで…」
貴「ちょ…え。いや、嫌ってわけじゃ…」
しょんぼりしてしまった沖田に罪悪感を覚え必死にフォローする。
沖「…じゃあ入ってくだせぇよ。」
貴「…わ、わかった。入るから、そんな落ち込むn…」
沖「やりやしたねィ近藤さん今日は歓迎パーティでもしやしょう。」
貴(だ…だまされたぁぁぁぁぁ!!ペテン師だよ。ペテン師よりペテン師だよ、こいつ!!腹の中真黒だよ!!)
沖田は最初から分かっていた。一之瀬修弥という人間が無下に頼みごとを断れない性分だと。それを利用したのだ。
修弥も利用されたことに気付いたが、時すでに遅しであった。
沖「んじゃ、そこに制服置いておくんで着替えたらさっきの部屋きてくだせェ。あ、あとサイズが合わねぇ時は言ってくだせェ。」
貴「あ、はい…」
貴(もうだめだ。逃げられねぇ。身寄りもいねぇから故郷に帰らなきゃいけないなんてこともないが…にしてもいきなりすぎる。)
冷や汗だらだらで用意された制服に着替える。
修弥は焦っていた。このままではほんとに入隊することになってしまう。と。
貴(抜ける方法もねぇし…どーするか。)
そんなことを考えているとスーッと襖が開いた。
土「お前、商いの方はどーすんだ?」
貴「どーするも何もやめるしかないだろ」
土「…総悟には俺からなんとか言っておくから気にせずに商人つづけろ。」
申し訳なさそうにそういう土方の姿を見て少し驚く修弥。
土「現状を言うと今真選組は戦力が大幅に減少してる。1人でも多く人手がほしい。総悟もそれをわかっていたんだろうが、それにお前が協力する義理はねぇし、気にする必要もねぇ。」
苦虫を噛み潰したような顔で土方は言った。
貴「…そんなこと言われたら余計後戻りできないだろ…。それに収入も安定しない職だったし、身寄りも家庭ももうねぇから別に大丈夫だ。ここまで来たら腹括るさ。」
やさしく笑いながらそういった修弥に土方はまた申し訳なさそうに「すまねぇ。」とつぶやいた。
貴「まともな組織みたいで安心したよ。」
冗談のように笑って着替えを進めていく修弥だったが、白い布を手にして動きを止める。
貴「…これ、なんだ?」
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白い布の身に着け方を教えてもらい着替えが完了させ局長室に戻ってきた。
近「おぉ!似合ってるぞ!!」
そういい豪快に笑う近藤。
近「早速だが修弥には一番隊の副隊長をやってもらう!」
貴「副隊長!?いきなりそんな役職をやるのか?」
驚くのも同然だ。たった今入隊したのに副とはいえ隊長を務めるなんて他の隊士のこともあるし…と考える修弥。
沖「文句いうやつがいたら構わず切っちゃってくだせぇ。」
貴「無理にきまってんだろ。…というか隊長は誰なんだ?」
直属の上司になる人物だ、知っておきたい。と近藤にいう。
沖「俺でィ。」
近藤の隣にいた沖田の口から耳を疑う言葉が飛び出した。
「俺でィ。」沖田は確かにそういった。俺とは誰だ?まさかこいつが上司になるのか?混乱しつつ頭で必死に状況と今後を整理する修弥。
貴「やっぱり無理だ」
必死に考えた結果の答えだった。
沖「拒否権なんてありやせん。部屋に案内するんでついてきてくだせェ。」
きっぱりと言い切り立ち上がる沖田に唖然としつつももう何を言っても無駄だろうとこの短い時間で痛感した修弥は大人しくついていく。
近「…悪いことをしちまったかな。」
部屋を出ていく2人を見てそういった近藤。
土「腹括ってれたみたいだが、俺らもあいつのやさしさに甘えすぎてるかもな。」
近「……そうだな…どーしよ。」
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