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光を追う花









ソレは、
考えてもいなかったこと




想定してないんだから
ソレがおこった時、

待っているものは




「別れよう、俺達」








絶望だ。










何がおこったのか
まず、俺の脳内はその事実を
現実と認めようとはしない。
けれどいくら頭で認めなくても
ソレは現実。
今まさに起こったアクション

じゃあどうして何で理由は?




俺のこと、キライになった?





普段では考えられないような量の
言葉が頭の中に生まれ駆け巡る。

パニック状態だ

聞きたいのに、どれを
問うかを決められず
口の開閉のみを繰り返す。



それまで黙って俺を
見つめていた視線が逸れた。




これが最後

背を向けた姿がそう囁いた気がした。


この背中は、
俺が引き留めることを
望んでいる

直感でそう思った。
そう思える冷静な部分も
残っているはずなのに
暴れる一部に全体が引っ張られる。







行くな



どうして?



行くなよ



なんで、



行かないでくれ



なんでなんでなんで、



















お願いだから、


俺を捨てないで








立ち去ることを告げる足音に
涙がとまらない。

口はこんなにも
だらしなく半開きなのに
喘ぎ声すら出てこない。







結局俺は、何も言えなかった。











今考えれば簡単なこと
こんな簡単なことなのに、


どうして俺は
気づかなかったのか
どうして
気づけなかったのか





涙がとまらない

後悔もとまらない



握り締めた拳
爪を思い切り肉に食い込ませた。

痛みが少しでもこの悲しみを
忘れさせてくれるかもしれない
安易にそう考えて。

こんな時までも、自分が
救われる道を探して




人間恐怖症になりそうだった
自分のせいで

だけど酷く人間に頼りたかった。
すがりつきたかった





たくさんの愛を受けて
俺も同じ気持ちで

光を目一杯浴びて
過ごしてきた生活が暗転した




暗い暗い何も見えない
夜とは違う
月も星も影も、
あの栗毛ももう見えない






光が欲しかった








「ねえ、」



「僕にしなよ」








雲間から淡い光が見えた。
同時にあの声が、






A drowning man will catch

at straw.







*****

羊サイドに続く.

「僕にしなよ」は、グリリバの
あの切なくて泣きそうなヴォイスを
思い出してくださいまし!





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