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旅行記


※学園が海の近く設定













潮の香りがする



波の音が聞こえる






そんな田舎に、僕らは帰ってきた。





高校を卒業して、
みんな
それぞれの就きたい職を
無事に手に入れて…
幸せなはずなのに、何故か
あの頃に酷く帰りたくなった、
この2年間。





切なくて、もどかしくて
今…やっと逢えたのに
この想いは収まらない。
目の前にいる恋人も、可愛くなくて目の離せなかった後輩も
同じ気持ちなのか、口数は多くなかった。






あの浜辺に行きたい

誰かの呟きでこの場に座りこんでからもう何時間だろう。
曇ってはいるものの、太陽が傾きかけているのはわかった。










そろそろ、帰ろう

また…誰かがそう呟く
3人が立ち上がる中、僕は1人座ったまま
気を効かせたのか、
哉太が2人を先に帰らせた。
2人が、立ち去っていく音が
耳に残った。







昔何度も聞いた砂を踏むあの音が
頭を駆け巡る中、



「羊、」



あの頃と変わらなく
愛しい声が、僕に伝わった。







「また…来よう」






「来年も、再来年も、」






「ずっと、ずっと先の未来まで」






心地よく響く言葉を聞くうちに、始めてできた恋人や、親友と別れなくてはならなかった
あの時の
あの道を1人足を進めた、
あの時の熱さを思い出した。










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