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一方通行侵入禁止
普段は強い光で見えない星が見える

さりげなく存在するそれに自分を重ねるように、

「この三連休で、水星が見えるそうですね」

「日の出か日暮れに、だったな。見に行くか?」

はい、と一言だけ答えて、細く見えても筋肉のついている胸に背を預けた。生徒会の仕事を切り上げて、食事をとって、それぞれのすべきことを仕上げてからどちらかの部屋に行くのが自分たちの常だった。

キスがしたい
抱きしめてほしい
口に出したら、世話好きのこの人は全てを叶えてくれるのだろう。いや、口にしなくとも、見えたなら、叶えてくれるのだろう。私には、貴方のそれは見えないのに、

ずるいとも、羨ましいとも、思う


「会長?」

「?」

「好きです」

言いながらキスをしたものだから、唇の感触をいつもより感じた。やわらかい、そのまま舌を差し込めば、答えてくれる愛しい人。目をつむっていても格好良い、愛しい人。視線を横に流せば、鏡には絡み合う2人の姿が映っていた。

この時だけは、自分の物なのだと安心できる。この人は、自分のものだ。見える体も、見えない心も、全部全部



あんな顔で、他の子を見ないで

そんな悲しそうな、顔をしないで



眠りを妨げないようにベッドを抜け出して、外へ出る。少し開いた口を一撫ですると、乾燥していたようだった。

水星
強い光にかき消されるその姿は、まるで自分のようだ。

遠くから、朝なのに元気な声が聞こえてきた。
楽しそうな笑い声
寒そうに肩をすくめる姿は、可愛いらしかった。


逃げるように寮へ入り部屋へ駆け込めば、先ほどと変わらず夢の中に彼はいた。

寝返りをうったのか、背を向けて浅い呼吸を繰り返す。
抱きしめてほしい気分だった。囁いて欲しかった。寝付くまで、髪を撫でて、


少しでもぬくもりを、と背中にくっついて目を閉じる。




私では、貴方のその悲しみを、拭うことはできないんですか。彼女じゃなければ、駄目なんですか。
じゃあ、今の私は




あきゅろす。
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