おひさまじっく
ぽかぽかと陽の当たるところで寝転がる。光はあたたかいのに、少し肌寒い1月の午前、俺は、ベッドの上の毛布を引き寄せた。
待ち合わせまであと2時間は、ある。少しだけ、ほんのちょっとのあいだだけ、
「哉太、哉太起きてってば!」
「んぁ…?」
赤い髪が見えた。
ぼやけていた視界がクリアになり、思考が巡り出して、頭に浮かんだのは
「いまっ何時だ!?」
枕元の時計を見ると、予定の時間を1時間過ぎていた。
「わりぃ、寝てた」
さっきから無口な羊に、怒られる今後に頭が痛くなった。なんで寝ようだなんて3時間前の俺は考えたんだろう。
沈黙のまま俺と羊は視線を合わせていた
どうしたらいいんだろう、動けない空気が辛かった。
「……」
「……」
「かなた、」
「…ん?」
「ねむい」
「は?」
ねむい、もう1度呟いて羊の腕が体に回された。体重をかけられ2人一緒に倒れこむ。太陽の光がまぶしかったのかわからないけれど、羊は穏やかな顔をしていた。
「もう、いいのか?」
「…ちゅう」
ちゅうでいいよ、目を細めたままそう言われた。いつもだったら、そんな恥ずかしいことできるわけがないんだが、
女でもないのに赤い唇に口づけて、胸元に顔を寄せる。
「ごめんな…」
「ん、許してあげる」
髪に顔をうずめながら喋るものだから、むずむずしてくすぐったかった。
「だけど、」
「?」
「今日は哉太の部屋に泊まるからね」
両手で顔を掴まれて上を向かされる。鼻をくっつけながらそう言われ、キスをされた。
さっきまでののほほんとした空気は何処へいったのか。なんて、野暮なことは聞かない。だからお前も、いちいち泊まるだとかどうとか、そんなこと聞くんじゃねえよ、ばか羊。
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