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かに
温もりにすり寄って、心地良い温度の中目が覚めた。

「起きたか?」

優しい声が振ってきて、事態が飲み込めていない俺は何も言えず、ただその微笑みを眺めることしかできなかった。

顔に掛かっていた髪を横に流され、そのまま頭を撫でられる。2人分の体温であたたまったベッドの中に何故いるのだろうとか、そんなことはもう、どうでも良かった。この幸せに溺れていたかった。
少しでも、少しでも長く

胸に顔をうずめて、腰に腕を回した。近づくとこんな匂いがして、意外と腰は骨ばっていて、

「本当、甘えん坊さんだよなー」

ぎゅ、と抱きしめられた。胸がどくどくいっていて痛いくらい高鳴った。

「せんせいだって、」

同じでしょう?
口に指を押し当てられて、続きは声にならなかった。大体、何を根拠にそんなことを言おうとしたのだろう、俺は。

「先生じゃないだろー?」

「…だって、」

「お前の好きな呼び方で呼べばいいんだぞ」

昨日も言っただろ?だなんて、そんなの記憶になんかないのに。呼んでくれよ、耳元で囁かれたらもう何も考えられない。

「なお、しさん…」

初めて声に出して、呼んだこの人の名。後頭部を掴まれて、距離が近くなる初めて間近で見た瞳は色素の薄い綺麗なものだった。

「すずや、」

目を瞑るのが勿体無くて、ギリギリまで目を細めてオレンジの睫毛を見つめた。
触れるか触れないかの瀬戸際で、我慢が効かなくなった俺は自分から近づいた。



空気を通り抜ける感覚

ぼやける視界の中に、あの人の姿は、なかった



いつものように制服に着替えて、部屋を少しだけ片付ける。きっと今日は、哉太や羊が放課後に集まるだろうから。今日は何故か、起きてから気分が良かった。



覚えてはいないけれど
何か良い夢が、
見れたのかもしれない




「あ、来たよ!」

「主役の登場だなっ」

「よーっし、皆の者ー準備はいいかー!」



「錫也!」「東月!」


誕生日、おめでとう!




あきゅろす。
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